2011年8月6日(土)「しんぶん赤旗」
福島第1 8兆ベクレル汚染水漏えい
建屋内配管 新装置の試運転延期
東京電力は5日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の集中廃棄物処理施設内にある、サイトバンカーと呼ばれる建屋内を通る汚染水処理システムの配管から汚染水が漏えいしているのが4日夜、見つかったと発表しました。
配管は、セシウム吸着装置で使用したベッセル(吸着塔)を保管する施設から、汚染水を一時貯蔵している集中廃棄物処理施設のプロセス主建屋に通じています。使用済みのベッセルを淡水で洗浄した後の排水が流れていました。
漏れた水はセシウム134が1立方センチ当たり550万ベクレル、セシウム137が同627万ベクレル含まれており、700リットルが漏れ出たことから、放射能の総量は8兆ベクレルになるといいます。
また、東電は汚染水処理システムで、新たに追加する第2セシウム吸着装置(サリー)の試運転を今月中旬に延期したと発表しました。6、7両日に実施予定でした。
試運転にはシステム全体を停止する必要があります。東電は、タービン建屋地下などの汚染水が増えており、地表面まで数十センチしかないため、処理システムを停止して汚染水の移送を止める余裕はないといいます。
一方、処理システムの一部で、配管の内部に汚泥がたまって流れを妨げているとされた箇所を迂回(うかい)するホースを設置した結果、流量が1時間当たり37トンから当初の目標である50トンに回復したものの、仏社製除染装置のポンプのトラブルで2時間停止。再起動して再び50トンに戻りましたが、5日午前、制御装置のトラブルで2時間停止しました。
40代の作業員が体調不良を訴えて、敷地内の医療室に搬送され、軽い熱中症と診断されました。これまで熱中症と診断された作業員は37人。
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