2011年8月5日(金)「しんぶん赤旗」
「つくる会」系教科書不採択
さいたま市で
さいたま市教育委員会は4日、2012年度から市立中学校で使用する歴史と公民の教科書について、自由社版と育鵬社版の教科書を採択せず、全員一致で東京書籍を選びました。
議論では「自由社版がわが国、郷土の偉人を大きくとりあげているのはよい」などの「新しい歴史教科書をつくる会」系教科書を評価する意見もありましたが、両社版の教科書は「課題設定型の学習には難しい面がある」などの意見が出されました。
自由社版歴史教科書の「年表盗用問題」についても委員から質問が出ましたが、市教委事務局は「自由社が著作権侵害について東京書籍に謝罪したとの報告を受けている」と答えただけで、採択対象からは除外しませんでした。傍聴した元立教大学教授の藤田昌士さん(77)は「妥当な結果だ。年表を盗用した自由社版がそもそも採択対象たりうるのか疑問だ」と話しました。
仙台で
2012年から使用する中学校教科書の採択について、仙台市定例教育委員会がこのほど開催され、中学校社会・地理的分野と歴史的分野は帝国書院版を、公民的分野は東京書籍版を採択しました。
「新しい歴史教科書をつくる会(つくる会)宮城県支部」は、宮城県議会に県教育委員会が市町村教育委員会を指導するようにという請願を提出。東日本大震災直後の県議会で採択されたこともあって、市町村教育委員会の教科書採択の結果が注目されていました。
県内最大の学校数を抱える仙台市教育委員会で、自由社版、育鵬社版いずれも採択しなかったことは、県内の市町村教育委員会の教科書採択に影響を与えるものと思われます。
■関連キーワード