2011年8月4日(木)「しんぶん赤旗」
米債務上限法 成立
財政再建策 秋にかけて再議論
最大焦点「誰が負担」
【ワシントン=小林俊哉】現在約14兆3000億ドルの米連邦債務の上限を段階的に2兆1000億ドル引き上げることなどを柱とする法律が2日、オバマ米大統領の署名をへて成立しました。米国初の「債務不履行」となる事態は、土壇場で回避されました。今後の焦点は、秋にかけて議論される財政再建策と、その負担を誰が担うかに移ります。
今回の法案の策定に向けて、野党・共和党は、高齢者向け公的医療制度(メディケア)などの社会保障分野の大幅歳出削減を提唱。一方、オバマ氏は「最富裕層、大企業も公正な負担をするような税制改革」の必要を主張し、同日の署名にあたっても、改めてそのことを強調しました。
巨額の国防予算や、イラク、アフガニスタン戦費など、膨れ上がった軍事費に、どこまでメスを入れられるかも課題となります。
ホワイトハウスによると、オバマ氏と与野党議会指導部による合意で、1兆5000億ドルの歳出削減について与野党による委員会を設置し、11月に結論を出すとしています。同委員会の結論は議会の採決に付されます。
一方、債務不履行を回避するための期限とされた2日になってようやく同法が成立したことは、米国の財政運営の不安定さ、政治における与野党対立の激しさを世界に印象づけました。さらに最高度の信頼を誇った米国債の格下げが懸念されたことも、米国の世界的威信の低下を改めて浮き彫りにしました。
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