2011年8月3日(水)「しんぶん赤旗」
横須賀 米原潜の入港「常態化」
太平洋全域の中継基地化
高まる原子力事故の危険
在日米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)へ米原子力潜水艦が頻繁に入港しています。
今年寄港8回
同基地に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)が夏の作戦行動で出港(6月12日)して以降、ロサンゼルス級攻撃型原潜ヒューストン(6月27日〜7月5日)、同級コロンビア(同1日〜6日、11日〜14日)、巡航ミサイル潜水艦オハイオ(同13日〜17日)の3艦が4回延べ24日間にわたり相次いで寄港しました。原潜の寄港回数は今年に入って8回を数えます。
2010年の原潜寄港回数は20回と過去5年間で最多、06年(9回)の倍以上でした。原子力艦船の横須賀への寄港増加の背景には、中国への対応、中東やアジアでの「対テロ戦争」遂行を理由にした太平洋地域への重点配備があります。米国防総省の06年版「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)は「太平洋へのプレゼンス(軍事的影響力)を増強する」として、11隻の原子力空母のうち6隻、潜水艦戦力の60%を太平洋側に配備するとしました。06年に太平洋側36隻、大西洋側40隻だった潜水艦配備は、現在、太平洋41隻、大西洋31隻に逆転しました。
巡航ミサイルトマホークによる攻撃や対潜水艦戦、水上艦の追跡、警戒、情報収集、特殊部隊投入など多様な作戦任務をこなす主力のロサンゼルス級攻撃型原潜は、パールハーバー(ハワイ州)、バンゴー(ワシントン州)、サンディエゴ(カリフォルニア州)、グアムを拠点に、各艦が西太平洋地域で6カ月サイクルの作戦任務に就いています。
同級パサデナは、昨年12月14日にハワイを出港し、横須賀に昨年12月と今年3月に寄港し6月22日にハワイへ戻りました。交代するように同級コロンビアは6月21日、ハワイを出港し、横須賀には7月に2回寄港しました。
秘密裏に行動
06年以降、新型攻撃型原潜ハワイ(バージニア級)、巡航ミサイル攻撃や特殊部隊投入を任務とする大型原潜オハイオ級2艦、太平洋増強で07年に配備されたシーウルフ級2艦も寄港しています。
横須賀市がまとめた原子力艦船寄港状況では、07年の寄港回数は13回延べ75日(年をまたぐ場合は入港年に算入)でしたが、08年11回246日、09年23回329日、10年25回261日。GWが定期整備を含め12月から翌年5月ごろまで半年間、横須賀に居座っていることが寄港日数を押し上げています。
横須賀基地は、太平洋全域で秘密裏に行動する原潜の中継基地として米軍に利用され、原子炉を搭載した艦船の停泊が常態化しています。文部科学省の地震調査委員会は7月、横須賀基地をかかえる三浦半島の活断層について「地震発生確率が高くなっている可能性がある」と指摘しました。米軍の戦略が原子力事故の危険を高めるものとなっています。
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