2011年8月1日(月)「しんぶん赤旗」

九電、質問メール封じ?

HP 詳細な個人情報要求


 玄海原発(佐賀県)の再稼働をめぐって「やらせメール」を組織した九州電力のホームページが、原発の安全性などについて質問メールを送る市民に対して住所や電話番号など詳細な個人情報の提供を求めていることが31日、本紙の調べでわかりました。企業のホームページで、ここまで個人情報を求める例はまれ。識者からは「事実上、質問の抑止効果を狙ったものではないか」と指摘する声があがっています。


 詳細な個人情報の提供を求めているのは、九州電力のホームページにある同社あての「お便りBOX」と題したメール送信ページです。このページの案内に沿って入力すると、原発についての質問を同社に送信できる仕組みとなっています。

 同ページでは「入力項目は、すべて必須入力となっておりますので必ずご記入ください」と注意書きがされ、名前やメールアドレス、住所、電話番号を全て入力しないとメールの送信ができません。

 企業によっては商品案内の郵送のために住所の記入を求める所もありますが、九電のように質問のためだけに住所まで記入しなければいけないのは異例といえます。

 九電のほかにも北海道、東北、東京、中部、関西の各電力会社も、質問メールに住所、電話番号、メールアドレスの記入を義務付けています。

 企業のコンプライアンス(法令遵守)問題に詳しい菅俊治弁護士は「個人情報の利用目的を明示し、その目的どおりに利用するならば、九電の行為自体は違法ではありません。しかし、いくつも個人情報の提供を求めて敷居を高くすることで、事実上、質問を抑止する効果を狙っているのではないか」と指摘します。

 九電広報は「当社への依頼内容の確認や確実に返信するために必要な(個人情報の)入力と思っている。引き続き、この入力をお願いしていく」としています。

 しかし、中国や四国、北陸、沖縄電力のように、住所や電話番号まで記入するかどうかは、質問者が任意で選べるものもあります。

 「玄海原発対策住民会議」の仲秋喜道副会長(81)は「九電には、批判する人を排除し、孤立させようとする姿勢が常にあります。『やらせメール』や住民説明会への『サクラ』の動員と共通した体質です」と指摘します。

 同会議会長の藤浦晧日本共産党玄海町議は「原発に意見を持つ人の情報を集めることで、逆に住民側が監視されていることを意識して萎縮するように仕向け、町民がおおっぴらに原発のことを話せなくするのが九電のやり方だ」と批判します。





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