2011年8月1日(月)「しんぶん赤旗」
私学に通う被災者は切実
全私研分科会 高校生も発言
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石川県加賀市で開かれている第42回全国私学夏季研究集会(全私研)は31日、各教科の授業実践や学費・私学助成問題、父母・地域との共同などをテーマに27の分科会が行われました。
「教育・学校づくりと組合運動」の分科会では、東日本大震災で被災した岩手県の盛岡女子高校の生徒をはじめ、神奈川県の旭丘高校、愛知県の豊川高校の生徒が発言。震災の経験から学んだことや、生徒たちが私学助成の署名をすすめている経験が語られました。
盛岡女子高校の生徒会では、「盛女で募金活動をしたらどうか」という生徒会長へのメールがきっかけのひとつになって、募金にとりくみました。集まったお金は、「必要な人にピンポイントで届くように」と学校に一任。被災して生活が困難な生徒たちへの月8000円の支援となっています。
「私学に通う被災者は切実」と切り出した母子家庭の女子生徒は、「私学も無償化されてこそ、一人ひとりの将来がある」と訴えました。
旭丘高校は、私学助成の署名を生徒たちが目標をもって集めていると報告。なぜこの署名を集めるのかを生徒会が軸になって学習会も重ねて努力しています。生徒会長は、「署名は学びの一環に位置づけられている。授業でも社会のしくみを学ぶなかでとりあげられています。ぼくたちは署名活動を通しても成長しています」と強調しました。また、東日本大震災をうけて自治体の防災課との学習会や、地域と学校と生徒会が共催したシンポジウム「国づくり・まちづくり・学校づくりと自分づくり」について報告しました。
「学費問題・私学助成」の分科会では、大阪府の橋下知事のもとでの「私学つぶし」の実態が語られました。箕面市の箕面学園高校の教師が報告。
同市に三つある私立高校はいずれも生徒数が450人未満の小規模な学校です。大阪府が私立高校への経常費補助金の生徒一人あたり単価を一律化したために、生徒の少ない学校は補助金が減り経営危機が心配されています。「生徒が多ければ補助金が増える。生徒の数だけで学校のよしあしを決めようとするもの」と批判します。
そして、3校の経営者とも協力し、市議会に働きかけ、全会一致で府に対する「私立小中学校経常費助成削減と私立高等学校経常費助成金の単価一律化の白紙見直しを求める意見書」を可決させたとりくみを報告。経常費助成の問題にもとりくんでいく重要性を訴えました。
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