2011年8月1日(月)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
作り話とは良くいいます。ないことを、いかにもあったかのように創作する。これはどうでしょう▼「誰が配ったか解(わか)らないが、以前家に入っていたビラによると…」。こんな調子で質問が発せられたら、「そうそう」と相づちを打って聞く人もいるかもしれません。国主催の原発関連のシンポジウムにあたって、国と四国電力が計画を進めようと、発言を要請した人たちに質問まで用意したというのです▼その例文では原発でプルトニウムを含む燃料を燃やすプルサーマルの影響について書いています。結びは「我々素人は、本当かどうかわからないので、ただ不安になってしまう。根拠のある話なのか、どうなのか」▼もう一つ。「推進派と慎重派の先生の意見にはすれ違いがあるような気がした。どちらのお話が本当なのかよく解らないところもあるが、国の審査はしっかりとやっていると感じた」と。質問というより、シンポジウムをうまく進めるための発言例です。四国電力が公表した「やらせ」例文集には、「素人なので良くわからないのですが」と、素人を装う言葉で始まるものなど30近くあります▼実際のシンポジウムで発言した人は15人。うち10人は四国電力が要請した人というのですから、驚きです。この舞台裏を知らずにシンポジウムに参加した人の怒りはどれほどでしょうか▼先ごろ、保安院による「やらせ質問」工作も明るみに出たばかり。国民を裏切る行為まであえてして進めてきた原発は、速やかに撤退するしかありません。