2011年7月31日(日)「しんぶん赤旗」

原発 国ぐるみの“やらせ”発覚

共産党の追及が口火


 原子力安全・保安院が関与するなど原発の住民説明会をめぐる政府ぐるみの“やらせ”発覚の背景には、日本共産党国会議員団の追及があります。

 九電の“やらせメール”問題をめぐっては、「しんぶん赤旗」7月2日付がスクープ。これを笠井亮議員が6日の衆院予算委員会で取り上げ、追及すると、菅直人首相、海江田万里経産相がともに「けしからんことだ」と答え、調査を約束しました。これが、保安院の“やらせ”指示が発覚する口火になりました。

 笠井氏の追及と政府答弁を受けて、資源エネルギー庁は14日、九州電力以外の電力5社に対し、過去5年間に国が主催した原発問題のシンポジウムなどで“やらせ”が行われていなかったか調査し、報告するよう求めました。

 20日にも笠井議員は衆院予算委員会で、九電以外でも以前から“やらせ”が行われていたとの証言もあるとして、他の電力会社も含めて政府が直接、徹底調査して、責任を明らかにさせるべきだと求めました。海江田氏は「(他の電力会社についても)もちろんです」と答え、他の電力会社についても調査することを約束しました。

 同日の衆院復興特別委員会では吉井英勝議員が、九電玄海原発(佐賀県玄海町)をめぐる“やらせ”番組の目的が、「緊急安全対策の説明」から、「再起動の地元了解」へと変更され、資源エネルギー庁が了承していたことを追及しました。

 変更を申請したのが電力社長らが役員を務める日本生産性本部であり、「番組自体が仕組まれたものだった。はじめに再稼働ありきの筋書きにもとづいてすすめられてきた」とただすと、海江田氏は「調査する」と答えました。


「メール」問題を告発 笠井議員がコメント

これで再稼働など言語道断

 九州電力の「やらせメール」問題を告発し、他の電力会社や国の関与がなかったのかどうかを含めて政府に調査を求めてきた日本共産党の笠井亮衆院議員に話を聞きました。

 「やらせメール」問題は、公正・中立であるべき政府の「説明番組」に妨害行為があったのではないか、という角度からとりあげたものでした。そのときから、政府の関与がなかったのか、教育基本法改悪の際の「タウンミーティング」の例も示して追及しましたが、今回の調査報告で事実であることが示されました。

 今回の調査報告は、九電だけでなく他の電力会社も調査するよう要求していたものでした。首相や経産相は、九電がやったことは「けしからん」と答弁していましたが、まさに政府自身が主導し、一緒になって「けしからん」ことをしていたわけです。

 こんな保安院がつくった原発のストレステスト(耐性試験)実施計画など到底信用できません。それで再稼働など断じてあってはなりません。いま原発の推進機関と規制機関の分離こそやるべきです。

 本来、保安院自身のことなのですから、電力会社の報告を待つまでもなく、政府自ら直ちに調査すべきでした。それが電力会社から報告がなければ明らかにならなかったこと自体、政府に自浄能力がないことを示しています。そうである以上、国会が真相を徹底的に明らかにする責任があります。

 こうして「安全神話」がつくられ、ウソのうえに原発が次々つくられてきたことが明らかになったわけですから、あらためて「原発からの速やかな撤退」が必要だと痛感します。





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