2011年7月30日(土)「しんぶん赤旗」
菅内閣 エネ政策再構築案を発表
原発依存の転換示さず
菅内閣の「エネルギー・環境会議」(議長・玄葉光一郎国家戦略相)は29日、東京電力福島第1原発の事故を受け、エネルギー政策を再構築するとした中間整理案と、当面の電力需給安定策を取りまとめました。
中間整理案は、原発について「依存度を下げていく」など9項目の原則を掲げ、2050年まで短期、中期、長期の3段階の工程を提示しました。しかし、数値目標などはいっさい示さず、原発ゼロへの展望もなく国民の願いにこたえたものにはなっていません。
整理案は原発について、「より安全性を高めて活用しながら、依存度を下げていく」と提示。「反原発と原発推進の2項対立を乗り越えた国民議論を展開する」とし、今後3年間かけて依存度低減について議論を深めるとするだけにとどめ、「原発に依存しない社会をめざす」とした首相会見(13日)より大きく後退しています。
同会議に検討委員会を新設し、安いとされてきた原発の発電コストの再計算を行うとしています。
また地域独占の電力会社による「集権型エネルギーシステム」から「分散型エネルギーシステムへの転換」をうちだしましたが、2020年度までを目途として普及促進に取り組むことにとどまっています。
さらに需給安定策では、「原子力発電所が再起動しない場合」の電力コスト増を「約2割」と試算。「燃料コストが年間約3兆円以上かさむ可能性がある」として、「安全性が確認された原子力発電所の再起動を進める」として、原発継続の方針を打ち出しています。
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