2011年7月29日(金)「しんぶん赤旗」
中国・高速鉄道事故 多い未解明部分
原因は? 直後の対応? “手抜き”?
【北京=小寺松雄】中国・浙江省温州市で起きた高速鉄道事故から28日で5日たちましたが、いまだに解明されていない問題があります。
「止まれの指示が」
事故翌日の24日、鉄道省は「落雷による設備故障が原因」(王勇平報道官)と発表しました。上海鉄道局は28日、さらに具体的に「落雷で、信号が赤になるはずなのに青のままだった。職員も気づかなかった」と述べました。
追突された列車の運転士は「自動停止ではなく、止まれという指示があった」と周辺に語っていると報道されています。また追突した列車(運転士は死亡)の自動列車制御装置(ATC)は、機能しませんでした。
なぜ、埋めたのか
事故直後の中国当局の対応をめぐる最大の疑問は、「転落車両を埋めたものの、すぐにまた掘り出す」という不可解な行動でした。「埋めた」ことについて王報道官は「救出や調査をスムーズに実施するための応急措置」と説明しました。
内外の批判の高まりの中で翌日、掘り出しましたが、当局はまだ一連の行動の経過を説明していません。
鉄道相解任の理由
今回の事故で、中国国民の疑念をいっそう強めているのが、今年2月の劉志軍鉄道相(当時)の規律違反による解任です。中国共産党規律委員会は「調査中」として詳細は発表していませんが、鉄道関係業者から賄賂を受け取ったといわれています。
解任以来、「賄賂の分だけ手抜き工事があったのでは」「安全軽視で早期開業に突っ走った」との批判がインターネット上で高まっていました。