2011年7月27日(水)「しんぶん赤旗」
風評被害 観光直撃
参道ガラガラ 会津若松
「客戻したい」懸命の努力
東京電力福島第1原発事故による放射能汚染の風評被害で、年間350万人にのぼる福島県会津若松市の観光客が激減しています。観光が基幹産業の一つの同市にとって大きな打撃で、賠償要求とともにお客を取り戻そうと懸命な努力がつづいています。
白虎(びゃっこ)隊自刃の地、市の中心部東にある飯盛山の参道には、観光客の姿がほとんど見られません。土産物店を経営する社長は、「ここはゴーストタウンだ。例年の2割しか客がこない。私の店も売り上げガタ落ちです。店員を6人使っていたが、今は自宅待機させている」と肩を落とします。
その一方で、固定資産税や消費税が重くのしかかり、業務用で基本料金が高いガスや水道料金は節約しても大きな負担です。
同地の土産物店や関連業者などでつくる飯盛山商店会はこの間、「地域経済活動は壊滅的だ」として、東電に損害賠償請求に応じるよう要求。県や市に小中学生の教育旅行(修学旅行や体験学習、林間学校など)の推進、税の減免などを陳情しました。
修学旅行中止
「修学旅行先として会津若松市に32年間ずっときていた首都圏のある中学校が、父母の一部から『今なぜ会津なのか』と異論が出て、変更になった。がく然としました」
こう語るのは、会津若松観光物産協会(258会員)の渋谷民男統括本部長です。
同市観光の軸となっている教育旅行の受け入れは、昨年1081校、約8万人だったのが今年は激減し、4〜6月に県外27校、秋の予約44校、全部で70〜80校と1割にも届きません。
市観光公社の会津鶴ケ城天守閣グループリーダー、新井田信哉さんによると、例年だと鶴ケ城の観光客100万人のうち60万人が天守閣(有料)まで上ります。しかし、大震災・原発事故直後から1カ月ぐらいは7割減、その後、重要文化財などを一挙公開する「歴代城主展」など企画展も充実させる努力を重ね、やっと3割減まで戻しました。
党提案に共感
観光関連業者から実情を聞く日本共産党の斎藤もとお(60)、伊東くに(55)両市議にはどこでも、「早く原発事故を収束させ、この地では放射能も大丈夫だというところまで持っていってほしい」との声がかかります。両市議が東電による全面賠償と、放射能の不安を取り除く日本共産党の提案を話すと、共感の声が寄せられました。 (福島県・野崎勇雄)
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