2011年7月25日(月)「しんぶん赤旗」

主張

熱中症緊迫

高齢者の被害拡大繰り返すな


 各地に大雨と一時的な涼しさをもたらした台風6号が東の海上に去り、今週から再びきびしい暑さが襲ってきます。いよいよ懸念されるのが熱中症の被害です。

 6月下旬から太平洋岸を中心に始まった本格的な暑さで、すでに各地で、救急車で病院に緊急搬送され、そのまま入院したり、ときには亡くなられたりする方が相次ぎました。高齢者を中心に多くの被害者を出した昨年のような事態を絶対に繰り返さないことが急務です。

死者の8割が65歳以上

 熱中症のため救急車で運ばれた人の数は、6月中だけで昨年の3倍以上、7000人近くにのぼりました。うち51・1%が65歳以上の高齢者でした。救急車で運ばれる人の数は、7月になってからも増えています。

 厚生労働省の調べによると、昨年1年間の熱中症によって亡くなられた人の数は1718人にのぼります。しかもその79・3%と、約8割が65歳以上の高齢者です。高齢者にとって、熱中症がもっとも怖い病気のひとつとなっているのは明らかです。

 熱中症は気温が高いなかで長い時間過ごしたため、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温が調整できなくなり、めまいや頭痛、吐き気、けいれんや、意識の異常などを引き起こす病気です。家の中にじっとしていても熱中症になる場合があります。

 とくに高齢者は暑さが感じにくく、汗もかきにくいため、自覚がないうちに、熱中症になることが多いと警告されています。

 熱中症を防ぐには、まず熱中症がときには命に関わる重大な病気であることをよく知り、知らせることです。子どもや高齢者には、周りの人が注意することが重要です。夏だから少々暑いぐらいはと軽視すれば、重大な事態を招くことにもなりかねません。

 日常的には涼しい服装で、暑さを避け、こまめに水分や塩分を取ることが予防法になります。もちろん、炎天下での長時間の外出や激しい運動は禁物です。体調を整えることが大切で、寝不足や食事抜きを避けることも大切だと環境省や厚生労働省などは指摘しています。

 ことしとりわけ懸念されているのは、「電力不足」だといわれてエアコンなどの冷房を控えることの悪影響です。エアコンなどで室内を冷やし、体温の上昇を防ぐことは、熱中症を防ぐ要の対策になります。もともと家庭の電力消費はごく一部です。浪費はやめるべきですが、健康を破壊するような行き過ぎた節電は禁物です。

被災地での暑さ対策を

 日本共産党の田村智子参院議員が国会でも取り上げて、生活保護世帯が社会福祉協議会からお金を借りてエアコンなどを購入しても、収入に算定されないことになりました。高齢者の家庭や子どもたちの学校にエアコンを設置させることや、集会所や公民館など高齢者が暑さを避け集まることができるシェルター(避難所)を確保することも重要です。

 東日本大震災の被災地にとっては、熱中症対策はとりわけ切実です。避難所で熱中症になるなどというのは文字通り人災です。高齢者をはじめ被災者が安心して生活できるよう、政府は暑さ対策にも力を尽くすべきです。





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