2011年7月23日(土)「しんぶん赤旗」

南米諸国、「新自由主義」を批判

米国が債務不履行の恐れ


 米国の連邦債務残高の上限引き上げをめぐって議会の対立が続き、引き上げられない場合、債務不履行の恐れが出ている中、南米諸国からは、自国経済への悪影響を懸念する声や、極端な規制緩和を進めてきた米国の金融・経済政策を批判する声が上がっています。(島田峰隆)


 ブラジルは、米国債の保有残高が世界第4位。ロイター通信によると、同国のルセフ大統領は先週、経済専門家チームと4回会合を開き、米国が債務不履行に陥った場合の影響を検討しました。同大統領は毎日、米国の経済情報をチェックしているといいます。

 同国の全国紙グロボのコラムニスト、ミリアム・レイトン氏は16日、「(米国が債務不履行に陥るなら)世界的に否定的影響が広がる」と懸念を表明。「米国が力を独占していた時代には妄想だと思われたようなこと(危機)」が起きていると指摘しました。

 アルゼンチンのフェルナンデス大統領は19日の演説で、米政府が投機を野放しにした結果、金融危機が起き、債務問題が拡大したと強調しました。「米国は、商品やサービスを生み出すことなく、金融取引が利益を生む場と信じ込んでいた」と批判しました。

 また同大統領は、雇用維持や国内投資増を重視してきた同国の政策が「米国と違う点だ」と指摘。アルゼンチンが債務危機に陥った際に新自由主義的政策を米国に押し付けられたことを振り返りながら、「新自由主義の教科書を手放したことがわれわれにとって良かったのだ」と語りました。

 ボリビアのモラレス大統領は15日の演説で、米国がアフガニスタンやイラクに対する戦争や国外の米軍基地の維持・強化に財源をつぎ込んできたことを批判。「世界中に展開している基地や部隊に浪費しなければ、米国は財政危機を容易に乗り越えることができるだろう」と述べました。





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