2011年7月23日(土)「しんぶん赤旗」
雇用を守ることは地域の絆守ること
ソニー告発 議場共感
参院予算委 山下議員質問
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参院予算委員会で22日、復興に逆行するソニーの“非正規切り”をとりあげた日本共産党の山下芳生議員。他党の議員からも共感の声や拍手が上がりました。
「復興は、被災者が住んでいた地域で生活を立て直すのが基本だ」。山下氏が強調すると、菅直人首相も「そのことが被災者の最大の希望で、それに向かって頑張らなければならない」と応じました。
地元中小が踏ん張る中、世界のソニーが逃げるのか
宮城県気仙沼市の水産加工会社。9工場のうち8工場が全壊しながら、800人の従業員を1人も解雇せず雇用を維持しています。山下氏は「解雇すると、地域での“細い糸”が切れて外へ出て行く。それではまちの復興はできない」と語っている社長の言葉を紹介しました。
山下 雇用を守ることは地域の絆を守ること―。ここに復興の基本が示されている。
首相 大変重要な観点だ。雇用という一番重要な人間関係を維持しながら、復興へと向かうよう全力で支援したい。
同社では、震災で自宅待機中の採用内定者が自主的に被災工場の片付けを始め、その姿に社長が「元気をもらった」「復興に若い力が必要だ」として、2カ月遅れながら内定者30人全員の入社式が行われました。
山下氏は「人と人の生きた結びつきが復興のエネルギーになっている」と指摘。「被災地で頑張る経営者の魂を見た思いがした」と力をこめました。
同じ被災地で、ソニーはどう対応したか―。仙台テクノロジーセンター(宮城県多賀城市)で正社員280人の広域配転と期間社員150人全員の雇い止めを計画しました。「被災」が口実。山下氏は菅首相に迫りました。
構想会議委員の企業が復興に逆行。放っておくな
山下 「目の前が真っ暗になった」「裏切られた」「小さい子どもがいるのに生活できない」といっている。復興に逆行するやり方ではないか。
首相 解雇や雇い止めは震災を理由とすれば無条件に認められるものではない。個別企業の経営の問題にコメントすることは控えたいが、経済界にはできるだけ雇用を守るよう要請している。
政府から経済界にいっているから、とすませようとする首相の答弁。
山下 地元の中小企業が逃げずに雇用を守っているのに、大企業がさっさと逃げ出すなんて許されるのか。ソニーの中鉢良治副会長は、あなたが選んだ復興構想会議の委員だ。放っておいていいのか。
首相 東北関係の方を選んで自由に議論していただきたいと委員をお願いしたことは間違っていない。
出身企業の話をすれば自由な議論の障害になると開き直る首相。他の野党議員から「構想会議のメンバーとしてふさわしくない」などとの声があがりました。
山下氏は、若い期間社員が「世界的メーカーの品質を自分たちが担っているという自負があった」と正社員にも負けない誇りを持って働いていると訴えました。
山下 彼らは雇用の姿こそ非正規だが、仕事の中身と志はプロフェッショナルだ。そんな彼らを震災のまっただなかで切り捨てて、復興なんてできるはずがない。
首相 幅広い観点から、自由な発言をお願いしている。
復興委のソニー副会長にものがいえない首相。山下氏が「調べもしないのか」と迫ると、「事情を関係者に聞く」と答えざるをえませんでした。
山下氏は(1)大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせること(2)雇用を守る中小企業を本気で支援すること―を求めました。