2011年7月22日(金)「しんぶん赤旗」

「透明性」なき実施計画

原発耐性試験 “妥当”と安全委


 国の原子力安全委員会は21日、経済産業省原子力安全・保安院が提出した、全ての原発に対するストレステスト(耐性試験)の実施計画を妥当と判断しました。

 15日に保安院が安全委員会に報告した際に委員から意見が出た点を踏まえて出し直しました。

 実施計画によると、大規模災害の対象として地震と津波を想定。定期検査中で起動準備の整った原発を対象とした1次評価と、1次評価を受けたものを含め全原発を対象とした2次評価があります。各評価で、災害が起きて原発の全電源や冷却機能が失われたときにも安全性が確保されているかを調べるとしています。

 前回提出した案では、1次評価の際に、東京電力福島第1原発事故の要因となった地震と津波が重なった場合が含まれていませんでしたが、今回新たに盛り込まれました。

 評価は1次、2次とも、原発を所有するそれぞれの電力会社が実施し、結果を保安院に提出します。保安院はそれを評価して、安全委員会に結果の確認を求めるとしています。

 ストレステストは、福島第1原発事故を踏まえて、欧州連合(EU)が始めたものです。EUがストレステストの実施に当たって発表した文書では透明性の確保を強調していますが、実施計画には一切ありません。

 1次、2次とも評価事項にはほぼ同じ文章が並んでいます。政府・東電の統合対策本部の記者会見で実施計画について説明した保安院の山田知穂課長には、その違いについて説明を求める質問が相次ぎました。

 内閣府の園田康博政務官は、再稼働の準備ができたものから順次テストに入るとの見解を表明しました。評価結果の最終判断は菅首相はじめ関係閣僚が決めることになっており、ストレステストが再稼働を前提としたものであることを示しています。





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