2011年7月21日(木)「しんぶん赤旗」

被災者の願い 国はこたえよ

塩川議員の質問 衆院予算委


 20日の衆院予算委員会で、東日本大震災からの漁業・水産業の早期復旧や、災害を繰り返させないまちづくり、宅地の液状化被害対策を取り上げた日本共産党の塩川鉄也議員。救援・復旧対策の遅れをただし、被災者の願いを前へ進める気迫に満ちた質問となりました。


負担軽減へ予備費を 塩川氏

首相 予備費も含め対応する

漁業復旧

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(写真)菅直人首相などに質問する塩川鉄也議員(左)=20日、衆院予算委

 塩川氏は、岩手県山田町の漁業関係者が、10月のアキサケ漁の「旬」を逃さないようにと全力をあげていることを紹介。魚市場、製氷所、魚の前処理施設、冷凍冷蔵庫などが機能して初めて水揚げできることを指摘し、インフラの一体的な早期復旧に向けて政府の支援策をただしました。

 鹿野道彦農林水産相は「生産適期を十分意識しながら対応していかなければならない」と答弁。漁業・水産加工、流通の一体的支援に取り組んでいくと表明しました。

 塩川氏は、水産業共同利用施設の復旧を支援する事業の事業者負担が重過ぎると追及しました。

 塩川 3分の1の事業者負担は大変重い。早期復旧の妨げになっている。

 農水相 地方財政措置でできるだけ負担を軽減していきたい。事業者負担を少なくする考え方で取り組んでいかないといけない。

 塩川氏は、一つひとつの事業者負担も少なくなく、全部積み上げるとぼう大な負担になると指摘。2カ月前の参考人質疑で、岩手県漁連の大井誠治会長が「自助努力で立ち上げることは非常に難しい」として国の全面的な財政支援を求めたことを紹介し、「この声に応える措置が2次補正で行われているのか問われている」と追及。菅直人首相に、補正予算案に盛り込まれた8000億円を使えばすぐにできると迫りました。

 塩川 全面支援について決断すべきだ。

 首相 一体的に復旧する必要があるというのはその通りだ。旬に間に合うものは財政面で遅れることがないようさらにつめてもらいたい。

 塩川 これから相談という答弁でどうして地元が納得できるか。

 首相 指摘されたことを実現するためにどういうやり方が一番適切なのかを検討させたい。予備費で必要であれば、きちんと対応することにさせていきたい。

自治体負担 大変重い 塩川氏

首相 しっかりサポートする

高台移転

 塩川氏は、「二度と津波で犠牲者を出さない」と高台移転を希望している住民に、どう応えるのかとただしました。

 国交相 防災集団移転促進事業で国が4分の3を負担し、市町村負担は特別交付税などで措置する。

 塩川 あれもこれも地方財政措置では総額にすれば自治体負担が大変重くなる。

 塩川氏は、岩手県山田町の沼崎喜一町長が「国がどこまでやるか見えないと町の復興計画も絵にかいたもちになる」と話していたことをあげ、国による万全の財政措置を求めました。

 また、塩川氏が、住民は、津波で被災した土地は国が買い上げてほしいと求めていると指摘したのに対し、平野達男復興相は「復興構想会議から弊害もあると指摘されている」と答弁。塩川氏は、そんな提言を踏まえていては被災者の声に応えることはできないと批判しました。

 塩川 総理が前向きの措置を決断すべきだ。

 首相 高台移転を含めて自治体の復興計画を国がしっかりサポートしていく。それにより自治体財政が破たんすることのないよう、きちんと手当てしたい。国の買い上げも適切なものはその手法を使っていきたい。

 塩川氏は、「現状では、国が地方をサポートしているのではなく、動けなくさせているという声があがっている。抜本的な対策を強く求める」と述べました。

国の直接支援求める 塩川氏

首相 新たな制度を含め検討

液状化救済

 塩川氏は、広範囲に広がる液状化被害を取り上げ、今までにない対策が求められているとただしました。

 菅首相は「今回のような大きな液状化被害は初めてだ。法律的仕組みも含めてしっかり対応できるように関係省庁に指示している」と答えました。

 液状化による宅地被害について大畠国交相は、1万9300戸にのぼっていると答弁。塩川氏は、被害戸数は関東地方だけで東北では把握されていないことなどをあげ、正確な実態把握を要求。大畠国交相は「しっかりと調査したい」と答えました。

 塩川氏は、液状化被害は1960年代の新潟地震から広く認識され対策の必要性が叫ばれてきたにもかかわらず、宅地に対する対策が遅れをとっていたことについて、地盤工学会の提言(素案)も示しながらただしました。

 塩川 国の対策の遅れが重大な被害につながったのではないか。

 国交相 宅地への(液状化の)情報提供など対策が遅れたことは率直に認めたい。

 塩川氏は、復旧のための費用が1戸あたり1000万円といわれるほど、経済的負担は深刻だと指摘し、公的支援制度の創設を求めました。

 塩川 二重ローン対策とともに国として直接的な公的支援を求めたい。

 首相 液状化の予防的な措置も重要。公的インフラ(社会基盤)と合わせた復旧支援が素早く対応できる対策だが、新たな制度を含めて検討が必要になっている。





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