2011年7月18日(月)「しんぶん赤旗」
米大統領 “巨額黒字企業に減税 おかしい”
富裕増税を主張
財政再建策 共和党、猛烈に反発
【ワシントン=小林俊哉】米国の債務が法定上限の14兆2940億ドル(約1131兆円)に達し、オバマ政権と与野党の議会指導部が財政再建策をめぐって交渉を続ける中、オバマ大統領は16日、定例のラジオ・インターネット演説で改めて富裕層増税の必要性を強調しました。
8月2日までに債務の法定上限引き上げを行わない場合、米国が初の債務不履行に陥る懸念が出ています。
下院で過半数を握る野党・共和党は、上限の引き上げには明確な財政再建策が必要だとして、医療・社会保障制度の大幅縮小などの歳出削減案の提示をオバマ政権に要求しました。
同政権は一定の社会保障費抑制策を示す一方、財政再建には歳入面での改革も必要だとして、ブッシュ前政権時代に導入された富裕層減税の廃止、巨額利潤を上げている石油産業などへの優遇税制の廃止などを逆提案しました。
富裕層減税の廃止によって、今後10年間で3兆6000億ドル(284兆8000億円)の税収増が見込まれます。しかし共和党は猛烈に反発し、交渉がまとまる見通しは立っていません。
オバマ氏は16日の演説で、財政再建策について「最も富裕な米国人にも、それ相当の負担をしてもらわなければ、問題は解決できない」と改めて強調しました。
「何百億ドルも利潤を上げている石油会社が特別な税控除を受けていいとは思わない。ヘッジファンドの経営者が、自分の秘書より低い税率で済むことがあっていいわけがない」と述べ、「われわれは、富裕層に犠牲を共有するよう求めるほかない」と述べました。
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