2011年7月18日(月)「しんぶん赤旗」

韓国海兵隊の同僚射殺事件

いじめ体質 浮き彫り

6年前も銃乱射 「軍の悪習」指摘


 韓国北西部の江華島にある海兵隊施設で兵士が同僚4人を射殺した事件(4日)は、韓国軍内部に根強く残る「いじめ文化」を改めて浮き彫りにしました。(中村圭吾)


 韓国メディアによると、主犯格の上等兵と共犯の2等兵は、軍の取り調べに対し、いじめを受けていたと証言。上官や先に入隊した先輩兵士から暴行を受けていたほか、「期数列外(同期から排除するの意)」と呼ばれる扱いを受け、後から入隊した兵士からも無視されていたといいます。

2等兵の証言

 2等兵の証言によると、上官が「自分は神も同然だ」と言って、聖書を燃やして読めないようにしていました。軍服の上から殺虫剤をかけて火をつけたこともありました。

 事件で射殺された上等兵は、自分が「何番目に好きな先輩か」と聞き、後輩兵士が別の上等兵を好きだと答えると腹を立て、殴打していたといいます。

 いじめを受けていた2人は1カ月前から犯行を謀議。「隊員を皆殺しにして脱営しよう」「俺たちが、いじめや暴行、期数列外をなくそう」と話しあったといいます。

前日に自殺者

 この部隊で、いじめを受けていたのは、事件を起こした2人だけではありません。事件前日の3日には、別の2等兵が自殺していました。この2等兵は、今年2月に大学を卒業し、4月初めに海兵隊に入隊したばかり。遺族によると、先輩兵士2〜3人が、服を脱がせた後、性器を鈍器で突いたり、裸で冷たい水に入らせたりするなどのいじめをしていたといいます。

 今回の事件後、軍当局は「(暴行などの)過酷行為」の有無を調査。11日には「部隊員5人を対象に調査した結果、隊員間で過酷行為があったことが確認された」として、暴行の疑いで上官ら2人を拘束しました。

 韓国で、いじめを受けていた兵士が同僚兵士を殺害する事件が起きたのは、今回が初めてではありません。2005年には、陸軍でいじめを受けていた1等兵(22)が銃を乱射し、8人を殺害する事件が起きています。

 以後、改善が図られたといいますが、韓国メディアによると、軍内部では、「軍での暴行やいじめなどの悪習はいまだに根深く、完全には根絶できていないのが現状だ」(11日付朝鮮日報)といいます。

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は12日、「原因を徹底的に調査した上で、責任をしっかり問う必要がある」と表明。軍当局も、「いじめ文化」の克服へ、危機感を持って取り組むとしています。





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