2011年7月16日(土)「しんぶん赤旗」

2次補正審議入り

「二重ローン」解消は限定

東電・大銀行救済に道筋


 2011年度第2次補正予算案の審議が15日、始まりました。野田佳彦財務相は、「当面の復旧対策に万全を期すため必要な財政措置を盛り込んだ」(財政演説)としていますが、中身は極めて不十分で、被災者の願いに沿うものとなっていません。

 財政支出額は1兆9988億円。東京電力福島原発事故対応2754億円、被災者支援3774億円のほかは、復旧・復興予備費に8000億円と地方交付税交付金5455億円など使途を定めないものが過半を占めています。

 原発事故では政府補償に1200億円のほか、国民負担によって東電と大銀行を救済する原子力損害賠償支援機構の関係経費280億円を計上。予算とは別に、資金の裏付けとして交付国債2兆円と政府保証枠2兆円を設定する大盤振る舞いです。

 「せめてゼロからの出発を」と被災者が切実に求めている「二重ローン」問題では774億円を計上していますが、債権買い取りの対象が限定され、中小零細企業を幅広く救済するものではありません。

 急がれる農林水産業の基盤復旧も水産業の一部にとどまっており、ソニーによる“非正規”切りなど失業や倒産が増えているのに、雇用対策は盛り込まれていません。

 このほか、被災者生活再建支援金に対する国の補助率を80%(現行50%)に引き上げることや、県民の健康調査などのため福島県が創設する基金に962億円を充てます。

 財源には10年度一般会計決算の剰余金を全額活用。日本共産党は、証券優遇税制の見直しなど大企業・大資産家減税を中止するだけで今回の補正予算規模の2兆円をねん出することができると指摘しています。





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