
2011年7月16日(土)「しんぶん赤旗」
米軍属 日本で裁判
検察審議決受け起訴なら
井上氏に答弁書
沖縄県で交通死亡事故を起こしながら、「公務中」を理由に不起訴となった米軍属に対し、那覇検察審査会が「起訴相当」を議決したことに関連し、政府は15日、検察審査会の議決に基づき検察が起訴した場合、日本側で裁判が行われることになるとの見解を示す答弁書を閣議決定しました。日本共産党の井上哲士参院議員の質問主意書に対するものです。
米軍属は今年1月、同県沖縄市の国道で普通乗用車を運転中、対向車線にはみ出し軽乗用車と衝突。軽乗用車を運転していた與儀功貴(よぎ・こうき)さん(当時19)を死亡させました。しかし那覇地検は、勤務先からの帰宅途中で「公務中」にあたるとし、日米地位協定に基づき不起訴を決定。第1次裁判権は米側にあるとされましたが、軍属の処分は5年間の運転禁止処分だけでした。
遺族の申し立てにより、那覇検察審査会は5月に起訴相当を議決。那覇地検が再び不起訴処分にしても、同審査会がもう一度、起訴相当の判断をすれば強制起訴できます。
井上議員の質問主意書は、日本側が、第1次裁判権がないとして起訴しなかった場合でも、検察審査会の議決に基づいて起訴されれば日本の裁判所で裁判が行われるべきだとして、政府の見解をただしていました。
これに対し答弁書は「起訴議決に基づいて公訴の提起がされた場合には、裁判が行われることになる」としました。いったん、米側に裁判権があると日本の当局が認めた事件で、今後、起訴した場合、裁判所がこれをどう扱うか、判断が厳しく問われることになります。