2011年7月15日(金)「しんぶん赤旗」
九電 “やらせ”メール 依頼時に例文持参
自然エネ「到底無理」 「再開全く問題ない」
九州電力が14日に公表した“やらせ”メール問題の社内調査報告で九電佐賀支店が取引会社23社に投稿を依頼する際に、詳細な事例文を持参していたことが明らかになりました。事例文からは、同社が周到な準備で不正工作をおこなったことがうかがわれます。
九電が明らかにしたのは六つの事例文です。佐賀支店の部長が作成したとされます。
事例文は「日本全体のことを考え、九州を含む西日本が元気を出して、生産や経済を回さなければならない中、電力不足は絶対にあってはならない」「電力が不足していては、今までのような文化的生活が営めないですし、夏の『熱中症』も大変に心配」「(太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーは)代替の電源と成り得ることは到底無理。当面は原子力発電に頼らざるを得ない」などと、さまざまな点から再稼働を求める内容となっています。
なかでも悪質なのが、福島原発事故にふれた事例文です。
「科学的データに基づいて、今回の福島原発事故の事象の要因は津波であるとの国からの説明がありました。安全対策については十分に実施されており、発電を再開することについて全く問題はない」
説明番組中に原子力安全・保安院が行う説明内容を事前に想定し、説明に“納得”したように装っています。そこには、福島原発事故から真摯(し)に教訓をくみ取ろうとする姿勢はありません。
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