2011年7月15日(金)「しんぶん赤旗」
6割切った国民年金納付率
根底にある原因の解決を
13日公表の厚労省調査で、国民年金納付率が59・3%と過去最低を更新し6割を切ったことは、無年金・低年金者のさらなる増大につながり、重大です。
日本の年金の最大の問題は、低年金・無年金の人が膨大な数にのぼることです。国民年金だけの人の平均受給額は月4万8500円にすぎません。
納付率低下の要因は不安定雇用の広がりと賃金の低下です。国民年金加入者のなかで「臨時・パート」労働者の割合は、1999年の17%(厚労省の国民年金被保険者実態調査)からほぼ10年間で26%まで上がっています。
自営業者などに比べて「臨時・パート」の人の納付率が低いこと、保険料納付者の平均所得が178万円なのに対し滞納者は113万円と1・5倍以上の差があることなど、不安定雇用や低賃金で保険料を払えないことが納付率を下げていることは明らかです。滞納者へのアンケートでも、納付しない理由について64%が「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」と答えています。
厚労省は今後の対策として、納付督励活動の強化をあげていますが、それでは解決になりません。
根底にある原因を解決するには、労働者派遣法の抜本的な改正など、大企業に社会的責任を果たさせ、不安定雇用と低賃金を是正することが必要です。本来、正社員として厚生年金に入るべき人が非正規雇用にされ、国民年金に加入させられているのが実態です。
現行でも、週30時間以上働いている人は、パートなどであっても事業主は厚生年金に加入させる義務を負っています。派遣社員についても、派遣元企業が加入させる義務を負っています。
さらに、深刻な年金空洞化を解決するためには、生存権を保障する立場に立った最低保障年金の導入に踏み出すことが必要です。日本共産党は、全額国の負担でまかなう最低保障年金を創設し、そのうえに、払った保険料に応じた額を上乗せする制度を提案しています。
民主党の掲げる最低保障年金は、財源が消費税であること、最低年金が実現するのは40年以上先であることなど、現在の無年金・低年金の解決に役立ちません。そのうえ、その制度の導入さえ先送りしています。
小手先の収納対策ではなく抜本的な対策が求められています。 (西沢亨子)
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