2011年7月15日(金)「しんぶん赤旗」
九電が組織ぐるみ
“やらせ”メール 社内調査
副社長ら幹部が相談
九州電力の真部利応社長は14日、同社本店(福岡市)で記者会見し、同玄海原発(佐賀県玄海町)の2、3号機再開を狙った国主催の「県民説明会」(6月26日)に同社が「再開賛成」のメール投稿を組織した“やらせ”メール問題についての社内調査結果を公表しました。
それによると、賛成意見の投稿を求めたメールについて、原発担当副社長だった段上守氏ら幹部3人が相談。副社長から賛成の参加者を増やすよう指示を受けた原子力発電本部の部長が、同社原子力発電本部の課長に「再開に向けた理解が進むよう協力しろ」と指示しました。
課長は最終的に社内の一部と子会社4社に対し「再開容認の一国民の立場から、真(しん)摯(し)に、かつ県民の共感を得るような意見や質問を発信」するよう指示するメールを送信。子会社社員ら2300人以上がメールを閲覧し、141人が「再開賛成」の意見を投稿しました。
段上氏らと相談した佐賀支店長が取引先26社と顧客5社にメールの送信を依頼。取引先23社には「電力不足で熱中症が心配なので原発再開が必要」などと具体的な文例も示して投稿を促したことも認めました。
真部社長は「副社長らの真意は『賛同者を増やしてほしい』ということ。その意向を受けて課長が行ったものだ」と組織的関与を認める一方、「国会で取り上げられるまで、副社長以外の役員は私を含め知らなかった」としました。
真部社長は自身の責任や経営陣の処分について「月内に開く取締役会で決める」とし、「この事件への対応や電力供給などに対応するのが責任の取り方だと思う」として早期の辞任を否定しました。
九電“やらせ”メールは、2日付「しんぶん赤旗」が1面でスクープ。当初、九電は全面否定していましたが、日本共産党の笠井亮衆院議員が6日に衆院予算委員会で追及すると、同日夜、真部利応社長が一転事実を認め、謝罪していました。
再稼働 もってのほか
日本共産党の武藤明美・佐賀県議
組織的に“やらせ”メールを指示していたこと自体、公益事業を担う企業として言語道断です。県民『説明番組』を再稼働にむけた世論操作に利用しようとした重大な問題で、県民世論をゆがめた責任は重い。福島原発災害の収束のめどもないなか、玄海原発2、3号機を再稼働などはもってのほかです。国民を欺き、安全を偽る九電の体質が問われています。老朽化した1号機の廃炉と3号機のプルサーマル発電は中止を求めます。
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