2011年7月14日(木)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 地元の農協の前で、なつかしさがこみあげてきました。子どものころの夏の風物詩だった、ヤマモモが売られているではないか▼深みある赤紫の実に、目はくぎづけです。最近は、公園や街路にも木が植わっているヤマモモ。農協は、農家の植木の実を売っていました。お勧めは「ジャムや果実酒に」でしたが、生で食べてみました▼子ども心を幸せいっぱいにした、あの甘酸っぱさやみずみずしさは乏しいけれど、仕方ありません。もろくて傷みやすい実を、本場の産地から首都圏に運んでくるには、むずかしさが伴うでしょうから▼ヤマモモは、おもに西日本の山に自生します。みるからにおいしそうな実を、昔の人が放っておくわけがありません。縄文人も食べていたらしい。いま農家が栽培する産地も、やはり四国など西日本に多い。ヤマモモの木は徳島の県木、花は高知の県花です▼味わった後、『くだもの・やさいの文化誌』(今井敬潤著)でヤマモモについて調べ、漁業との深い縁を知りました。かつて静岡県では、カツオ節をあぶり乾かす燃料にヤマモモの木が用いられました。カツオ節が赤みを帯び、香りもよくなったとか▼加えて各地で、ヤマモモの木の皮は地引き網の染料でした。網を腐りにくくしました。合成繊維の登場まで、重宝されたようです。先日、宮城県の石巻漁港が、津波から4カ月ぶりに水揚げを再開しました。昔、ヤマモモ産地からは遠い東北地方で、ヤマモモで赤く染まった網は使われていたのでしょうか。





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