2011年7月12日(火)「しんぶん赤旗」

NHK日曜討論 笠井議員の発言


 政府と与野党7党のエネルギー政策担当者が出席した10日のNHK「日曜討論」で、日本共産党の笠井亮衆院議員(党原発・エネルギー問題対策委員会責任者)が行った発言は次の通りです。


再稼働問題

ストレステストは「安全神話」とかかわりのない専門家に

 菅直人首相が、原発再稼働反対の世論に押されていいだした「ストレステスト(耐性試験)」について福山哲郎官房副長官は「(再稼働の)一定の前提条件」と発言。自民党の西村康稔衆院議員は「安全確認できたものは立ち上げ、動かしながらストレステストを行うべきだ」と再稼働を主張しました。笠井氏は次のように述べました。

 笠井 私はこの問題を6日の衆院予算委員会で質問しました。二つ問題があると思うんですね。

 一つは、歴代政権が「原発は安全だ」といっていたのに福島で大事故が起こった。「安全神話」からの決別が大事なときに、ごく一部の短期の対策をやったということで、(海江田万里経済産業相は)安心な原発だから動かしてくれといった。しかし、そのことがストレステストをやることによって破綻したことがある。

 もう一つは、玄海(原発)でいえば、国主催の説明会のときに、九州電力が再稼働賛成ということで「やらせメール」を組織的に指示していた問題が明らかになりました。わが党の機関紙(「しんぶん赤旗」)がこの問題を取り上げ、鹿児島県議会でも問題になったとき否定した九電でしたが、結局(国会)質問のなかで総理も経産大臣も「けしからん」といい、慌てて認める。ウソをついていたわけですね。「安全神話」はこうしてつくられた。

 ストレステストの問題でいいますと、ウソをついた九電と、福島原発事故の責任があり、収束できない保安院や原子力安全委員会にこれをやらせていいのかと(いうのが問われる)。そんなことでは国民のストレスが増すだけですから、ちゃんと「安全神話」とかかわりのないような(専門家の)方々の英知を結集してやるべきだと思います。

エネルギー政策

電力会社は原発以外のところで最大限の努力を

 原発を推進してきた民主党政権、自民・公明両党は「『エネルギー基本計画』で、2030年までに原子力比率を50%にするとしたのは現実的でなかった」(福山副長官)、「過去の政策を検証して見直しする」(自民・西村氏)、「真摯(しんし)に反省している」(公明・斉藤鉄夫幹事長代行)などというものの、電力の「安定供給」と結び付けて原発依存の立場を示しました。笠井氏は次のように述べました。

 笠井 住民の安全確保の問題と、電力供給ということを両てんびんにかけることはできない。これは福井県の知事もおっしゃっています。やはり電力の安定供給のためだからということで、安全でもない原発を再稼働するということにはならないと思います。

 福島の事故を体験して、やはり国民は節電のためにがんばっています。そういう点でいうと、電力会社や企業にしても、原発以外のところで最大限の努力をすべきで、再稼働だとはならない。8日の佐賀県の説明会の場では、(九電の)「やらせ」問題に対し「茶番だ」「だまされてきた」「事故の始末もつけられないような政府に本当に安全ということで責任がもてるのか」という声がありましたが、この点が非常に肝心な点だと思います。

損害賠償支援機構法案

被害者への全面賠償と東電の賠償責任追及を

 衆院で審議入りした福島第1原発事故の損害賠償支援機構法案について議論になり、福山副長官は「東京電力と国が一定の責任を果たすことになっている。早く通していただきたい」と発言。笠井氏は次のように述べました。

 笠井 (福島県)南相馬市の93歳の女性が「さよなら 私はお墓にひなんします ごめんなさい」という遺書を残した衝撃的な話がありました。(震災・原発事故から)4カ月たつのに、暮らしも成り立たない。仕事も収入もないなかで、賠償がされていないのは一刻も早くなんとかしなければいけない。国は二つの責任を果たす必要があると思います。

 一つは、被害者への全面賠償をすみやかに実行することと、仮払いをただちにやることです。もう一つは、東電の賠償責任を徹底的に追及する。あわせて、(原発推進は)電力業界や原子炉メーカーをあげてやってきたわけですから、(政官業癒着の)「原発利益共同体」の責任を明確にして負担を求める。

 今回の政府の法案をみますと、そういう点では東電救済になっていますし、責任あるところを免責している。巨額の賠償資金は結局国民の負担につながることになる。賠償について「迅速かつ適切な賠償」といっているわけですが、全面賠償になっていませんから、これじゃだめだと思います。

再生エネ促進法案

電力の固定価格での全量買い取りは当然必要

 太陽光発電などによる電気を電力会社に買い取らせる再生可能エネルギー促進法案をめぐって議論になり、「基本的に前向きに対応したいが、原発が止まって電気料金が相当あがってくる」(自民・西村氏)などの意見が出ました。笠井氏は次のように述べました。

 笠井 日本には豊かな自然エネルギーがありますから、この利用の可能性に最大限挑戦するというのが当然必要です。

 そういう点でいいますと、再生可能エネルギーによる電力の固定価格での全量買い取りは当然必要になると思います。環境省などの調査でも再生可能エネルギーの潜在能力というのは、(国内に現在ある)原発54基分の40倍といわれています。

 なぜ日本で(再生可能エネルギーが)進んでこなかったかといえば、原発に依存し続けて本腰入れて取り組んでこなかった政治の責任があると思います。

 負担の問題が出ましたけれども、電気料金の中で電源開発促進税として年間3500億円も徴収しながら原発推進に使ってきたわけです。この5年間で原子力対策には2兆円です。それに対して自然エネルギーには6500億円程度ですから、こういうところにメスを入れてきちんとやれば国民負担を抑えながらやることも十分可能だと思います。

今後の原発政策

すみやかに撤退するという政治決断をすべきだ

 最後に、今後の原発政策について各党は「既存のもの、安全確認のできたものは立ちあげていく」(自民・西村氏)、「できるだけ早く減らさなければいけないが、原子力は使わざるをえない」(公明・斉藤氏)、「すぐ撤退とかできない」(たちあがれ日本・片山虎之助参院幹事長)などと述べました。笠井氏は次のように発言しました。

 笠井 福島の事故を踏まえて、原発からはすみやかに撤退するという政治決断をすべきだ。原発事故というのはほかの事故とも違う「異質な危険」があります。空間的にも時間的にも社会的にも制約されない。やはりそういう原発と日本社会が共存していいのか、そこが問われている。やはり国民の命と安全を守るというならば、しっかり撤退という決断をすべきだといいたいと思います。





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