2011年7月12日(火)「しんぶん赤旗」
賠償の対象 限定されない
自民などの仮払い法案ただす
参院復興特 山下議員
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日本共産党の山下芳生議員は、参院復興特別委員会で11日、自民党などが提出した、福島原発事故の賠償金を国が東京電力に代わって仮払いする法案について問題点をただしました。
山下氏は6日現在、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、神奈川の6県の農林漁業者から計367億2千万円の損害賠償が請求されているのに、仮払いは41億3900万円にとどまっていると指摘。一番の原因は国の原子力損害賠償紛争審査会の指針の範囲でしか東電の仮払いが行われていないからだと強調しました。
本来、賠償の対象は指針に限定されるものではなく、国は、東電に迅速かつ全面的な賠償を行わせる責任があると指摘。ところが法案では、国による仮払いの対象も東電と同様で「指針に定められた事項に基づく」と限定されており、これでは現状を改善することにはならないのではないかとただしました。
提出者の佐藤正久議員(自民)は、「指針が十分とは思っていない」と認めたものの、「なんらかの基準がいる。やむをえない」と答弁。一方で、指針から漏れた損害については、都道府県に設置される基金から、県の判断で仮払いすることができると述べました。
山下氏は、根拠のあるものは東電が全額賠償するのが当然であり、枝野幸男官房長官も「指針とは別に明確に支払うべき損害と認められるものは積極的に支払うのが当然」と答弁していることを指摘。「仮払いを県の判断に任せると県が被害者の賠償請求の矢面に立たされ、国と東電は高みの見物になる」と批判しました。