2011年7月12日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 7月初め、宮城県石巻市を訪れました。震災で市内の11の保育園が被災。8カ所は園舎が津波で流されるなど深刻な被害がありました。困難な状況下、職員や保育士さんたちは一日も早い保育再開へ努力してきました▼そうして再開した保育園が親子の大きな支えとなっています。避難所で暮らすお母さんは「3歳の娘は慣れない生活にストレスをため、緊急地震速報の音を聞くたびに震えます。保育園では、のびのび遊べる。本当にありがたい」と言います▼被災した保育園は岩手、宮城、福島の3県で400カ所以上。全壊した園は約30カ所にのぼります。それでも、保育中の園児の死亡は報告されていません。保育士さんの的確な対応に加え、月1回の実施が義務付けられている避難訓練の成果でしょう▼津波で壊滅した石巻市の保育園では、園内に残っていた8人の子を2台の大型カートに乗せて避難しました。2年前の避難訓練の時、カート1台では時間がかかると判断。市に繰り返し要請してもう1台の購入が実現し、それが命を守りました▼岩手県の園長は「迎えを待っていた30人の子と必死で津波から逃げました。もし全員残っていたら無事避難できたかどうか…。今の基準では保育士の人数が少なすぎて、責任をもって子どもを守れないと痛感した」と涙ながらに語っていました▼全国どこでも大地震の危険がある日本。子どもの命を守るという視点で保育制度と最低基準の改善が急務だと、震災のつらい経験から教えられました。





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