2011年7月10日(日)「しんぶん赤旗」
被災者が主人公です
復旧・復興 3県に共同センター
「被災者が主人公の復興」をめざす県民共同のセンター(県民会議)が福島、宮城につづき、9日の岩手での結成によって被災地3県で発足しました。各地の被災者・避難者はじめ、農民、漁民や労働、女性、医療、中小業者など各分野の人々が生活・営業の再建を基盤とした復旧・復興をめざし活動を強めています。日本共産党もその一員として参加しています。
原発避難者の力に
福島
東日本大震災・原発事故被害の救済・復興めざす福島県共同センター(ふくしま復興共同センター)は3月24日、福島県の県労連、民医連、民商、新婦人、共産党など21団体で結成されました。(1)被災者、避難者の救援活動(2)地域ごとのセンターづくり(3)各種の相談活動(4)実態・要望に基づく行政への働きかけ(5)情報の発行を活動の柱としています。
原発事故避難者にトン汁の炊き出しと合わせた相談活動や、沿岸被災地での救援物資を届けながらの聞き取り調査などを行ってきました。
6月25日には「原発なくそう・もう一度自然豊かな福島を」集会を開き、1000人が参加。住む場所や家族、仕事を奪われ、放射能汚染にさらされる県民の怒りを全国に発信しました。
こうした動きを受けて、県の復興ビジョン検討委員会の復興の基本理念に「原子力への依存から脱却」がすえられ、佐藤雄平知事も同様の表明をするようになりました。
行政との交渉では、自力で民間住宅を借りた被災者への家賃補助(限度額毎月6万円、5人以上の場合9万円)を実現しました。
また福島県が全県民を対象に放射線量の調査に踏み出すなど、センターの運動・提言交渉で大きな変化をつくり出しています。
ともに漁業守ろう
宮城
東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターは弁護士、建築士、医師、研究者、技術者ら個人と、各地の被災者の会や福祉、医療、原発問題などの市民運動、労働団体、女性団体などで5月29日に設立されました。
大企業を参入させ、浜の秩序を乱す「水産特区」構想に象徴される、村井県政の上から目線の「復興構想」に対し、被災者・被災地が主役の復興・復旧をめざしています。
県に対しては、「福島原発事故による放射能汚染への対応、女川原発に関わる要望書」や「避難所・仮設住宅に関わる要望書」「被災した児童生徒の健康と安全、教育環境の整備等に関わる緊急要請書」などを提出。被災者の声や専門家の意見・最新知見を行政に届けてきました。
義援金支給を理由とする生活保護の打ち切り問題では、県に特別監査を行わせ、是正に道を開きました。
6月30日は石巻市や南三陸町で、津波被害の住民による自主的な集団移転の提案を調査し激励。今月3日には「漁業の未来を考える県民のつどい」を石巻市で開き、漁民を先頭に「特区」に反対し、漁業を守ろうと声をあげました。
17日には仙台市で、「宅地と地盤の被害情報交換会」を開催する予定です。
一点で幅広く結集
岩手
救援・復興岩手県民会議は9日、「被災地の声が届いていない」という現状を直視し、被災者・被災地本位の復旧・復興づくりをめざす運動を被災者一人ひとりの苦難に寄り添って進めるとともに、破壊された生活と生業(なりわい)の基盤回復のために、国が責任を果たすことを求めて結成されました。
同会議結成の呼びかけに応えて、22団体と6個人(8日現在)から加入の申し込みがありました。
同会議は当面の活動として、復興の進め方では被災地を無視した上からの青写真の押し付けは許されないという立場で、復旧・復興をめざします。
県が公表した「復興基本計画(案)」のパブリックコメント(7月末まで)への取り組みを呼びかけるとともに、被災者・被災地の要求にもとづいて県への要請を行います。
被災地へのボランティア活動など支援の取り組みについて連携をはかりながら、学習・交流会、シンポジウムなどを開催します。被災地での実態調査にも協力し、提言づくりに参加します。
同会議は「救援・復興の一点にもとづく幅広い結集をめざすとともに、被災者に希望が見える真の復興をめざして運動を進めましょう」と訴えています。