2011年7月9日(土)「しんぶん赤旗」
民主の比例定数80削減案
民意排除の「二大政党」延命
民主党政治改革推進本部は7日の総会で、衆院の選挙制度改革に関する同本部案を提示し、この中で衆院比例定数の80削減を改めて明記しました。本部長の岡田克也幹事長は「最終的に決定するのは次の執行部の仕事ではないか」と述べ、党としての意見集約は“先送り”する姿勢を示していますが、少数政党排除を狙う比例定数削減は重大な局面を迎えています。
同本部のメンバーは「あと1〜2回議論して政治改革推進本部としての案を決める」とし、今後、「大連立」を含む自民、公明両党との連携の中で、「選挙制度改革の論議は柱の一つ」と述べます。
自民党は比例30削減案を提示しています。
比例80削減案について民主党幹部の一人は、「もともと小選挙区と比例が並立するというのがおかしい。衆院では、最後は小選挙区一本というのが20年前の制度改革の方向で、議員定数を減らすとすれば比例の部分だ」と明言します。少数政党排除、「二大政党」体制の純化は“当然”という認識です。
しかし、小選挙区制を基礎とする「二大政党」政治の現実に国民はあきれはてています。
菅民主党政権は、原発再稼働問題で迷走。再稼働へ「安全宣言」したものの、住民の不安と怒りに押され「ストレステスト(耐性試験)」や「新指針」作成を言わざるを得なくなり、九州電力の「やらせメール」問題での不信も加わって再稼働不能の状況に追い込まれています。
自民党は、もっぱら菅政権の事故対応の拙さを攻撃しつつ、原発事故への最大の責任者としての反省も、政策転換の方向も示しません。
震災対応では、「菅降ろし」をめぐる政争に明け暮れ、最低限の復旧、支援策の多くが手つかずで、遅れた状態が続いています。
一方、消費税増税、TPP(環太平洋連携協定)推進、米軍普天間基地の辺野古移設などでは、旧態依然たる政治に民主・自民双方がしがみつき、行き詰まりを深めています。
各メディアの世論調査では民主、自民両党の支持率はともに下落傾向で低迷。時事通信の6月調査では民主12・8%、自民14・6%、「毎日」の7月2、3日の調査では民主13%、自民16%で、両党合わせても30%に達しない状況です。
このもとでの比例削減の強行が、「原発からの撤退」をはじめ、国民多数の声を国会から排除し、国民の声を無視する政治をもたらすことはいよいよ明白です。原発反対・震災復興から新しい社会づくりをめざすうえでも、少数政党を排除し、「二大政党」の党略的「延命」、独裁体制づくりをめざす比例削減の動きには警戒が必要です。(中祖寅一)