2011年7月9日(土)「しんぶん赤旗」

主張

節電の夏

低エネ社会を人間らしく


 東電の原発事故を発端にした電力供給の減少で、今年の夏は猛暑に加えて「節電」をどう乗り切るかが大きな課題になっています。

 政府は1日から、東京・東北両電力管内の大規模な工場・店舗・事務所などに対して電力使用制限令を発動しました。平日の昼間に昨夏の使用最大電力から15%の削減を求め、故意の違反には罰金が科されます。中小事業所や家庭には自主的に15%削減するよう求めています。

悪影響防ぐ対策を

 ほかの電力会社も関西が15%、中部、北陸、九州の各電力では数値目標を定めずに、いずれも自主的な節電を要請しています。

 東電の推計によると夏のピーク時電力需要の7割は事業用、3割が家庭用です。節電には企業の積極的とりくみが重要です。

 木・金から土・日への操業振り替え、太陽光発電の増設などメーカーの対応はさまざまです。鉄道各社も平日昼間の運行を減らす特別ダイヤを組みました。

 工場やオフィスには廃熱の再利用やエネルギー効率の高い機器の導入、断熱素材の活用、照明の適正化をはじめ大きな節電余地があります。最近のオフィスは過剰な設備設計によって、かえってエネルギー消費が増えているという指摘もあります。その見直しも不可欠です。

 操業日の振り替えや、一部で導入しているサマータイムなど大企業の対策は、労働者とその家族、周辺の飲食店などへの影響が小さくありません。

 日本共産党の山下芳生参院議員は政府に、人間らしい働き方、子育てとの両立に逆行する事態を防ぐ対策を求めてきました。これに対して厚労省は、延長・休日保育を利用する保護者に追加負担を求めないこと、費用は「安心こども基金」から支援することなどを都道府県に通知しました。その徹底とともに、保護者はもちろん自治体にも負担をかぶせないよう万全の対策を取るべきです。

 エレベーターやエスカレーター、照明の節電などは、障害者や高齢者の安全に十分な配慮を忘れてはなりません。

 世論調査によると、多くの家庭が意識的に節電に努めています。ただ、熱中症などで健康を壊しては元も子もありません。節電も体調と相談しながら進めることが重要です。

人間らしい働き方に

 収束のめども立たない原発事故は、原発が社会の存続と両立しないことを明確にしました。原発から速やかに撤退し、再生可能エネルギーの本格導入に踏み出すことが切実に求められます。それとともに際限なくエネルギー消費を増やす社会のあり方を根本から見直し、低エネルギー社会への転換を進めていくことが必要です。

 現在の節電は社会的な弱者に厳しく、犠牲を強いる側面も強く表れています。それと同時に、これまでのようなエネルギー使い放題の社会でいいのかと問い直す機会にもなっています。大量生産、大量消費、大量廃棄で24時間稼働の社会、長時間・深夜労働、不規則勤務がはびこり、エネルギーを浪費する社会でいいのか―。

 人間らしい働き方と暮らしを取り戻すことは、低エネルギー社会の実現と表裏一体です。節電の夏を契機に新しい社会への一歩を踏み出そうではありませんか。





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