2011年7月9日(土)「しんぶん赤旗」
原発撤退 再稼働反対 自然エネ促進
218議会が決議・意見書
東京電力福島第1原発事故(3月11日)を受けて、全国の地方議会で原子力発電からの撤退、事故の早期収束、被害への対応、自然エネルギーへの転換などを求める決議、意見書の可決が続いています。本紙の調べによると、8日現在、218の自治体に広がっていることがわかりました。 原発事故が起こった福島県では、県内自治体の4割、26市町村で決議、意見書が可決されています。
住民・共産党議員団が奮闘
全町民2万1000人余が避難を余儀なくされている浪江町議会の意見書は「国と東京電力が振りまいてきた『安全神話』のもとで、失ったものはあまりにも大きく、時間的、空間的、社会的にどれだけ汚染と被害が広がるかも、誰もが予想できない」と告発しています。他の災害と「異質な危険」にふれて、国と東電の責任をただしたものです。南相馬市議会の意見書では「『住み続けられるふるさと南相馬市を返してください』はすべての市民の心からの叫び」と訴えています。
全国で可決された決議・意見書は、住民からの請願、陳情を受けて議会に出されたものから、議員提出のものまでさまざま。日本共産党議員団が他会派に働きかけ、原発からのすみやかな撤退、原発建設、再稼働計画の中止の立場を明確にさせて全会一致で可決にいたったものも多数あります。
中国電力が建設計画中の上関原発がある山口県では、日本共産党周南市議団が他会派と案を調整し、上関原発建設の「中止」の文言をめぐって意見の不一致も懸念されましたが、党議員団の粘り強い対応で、最終的には「中止」を盛り込んだ意見書を全会一致で可決。周南市議会の動きを受けて、周辺自治体の議会も次々と「中止」「凍結」を盛り込んだ意見書を可決しました。
山口県議会は8日、「原子力発電所の安全対策等の強化を求める意見書」を全会一致で可決しました。県議会が上関原発建設計画に対する態度表明をするのは初めてです。
東京都の多摩地域で人口が一番多い八王子市議会では、日本共産党が提案した意見書を全会一致で可決。「期限を決めて原子力発電から撤退し、可能な限り自然エネルギーへの転換を図る、新たなエネルギー政策を定める」などの立場を鮮明に打ち出しました。
長野41議会、高知は過半数
原発立地・周辺自治体でも
原発からの撤退、安全対策の確立などを求める地方議会の決議、意見書の採択・可決が全国的な広がりを見せています。
長野県では41自治体で意見書を可決。高知県でも半数を大きく超える21自治体で意見書が可決されています。
こうしたなか、原発立地、周辺自治体でも意見書が可決されています。
原発が集中立地する福井県の若狭湾に面し、関西電力大飯原発の20キロ圏に全市民が居住している小浜市議会は「原子力発電からの脱却を求める」との意見書を可決。東京電力柏崎刈羽原発に隣接する新潟県上越市議会は「原子力発電所の段階的縮小と再生可能エネルギーへの転換・促進を求める」と主張しました。
再稼働問題も焦点となり、北陸電力志賀原発に対しては「地域住民の信頼が取り戻せるまでの間、原子炉の運転再開を許可しないこと」(石川県輪島市議会)、「原子炉設置(変更)の条件を見直し、地方自治体の同意を要する範囲を、半径30キロメートル圏まで拡大すること」(同羽咋市議会)との緊急要求を掲げています。
中国電力島根原発に近い鳥取県境港市、米子市、島根県雲南市、出雲市も意見書を可決。「原子力発電所を基軸としたエネルギー基本計画を白紙から見直し、自然再生エネルギー、低エネルギー社会への戦略的転換を図ること」(鳥取県境港市議会)など、原子力推進計画を見直し、自然エネルギーへの転換を求める立場を表明しています。
MOX燃料(プルトニウムを再処理した混合燃料)によるプルサーマル計画が行われている九州電力玄海原発に対しては、隣接する佐賀県唐津市議会が「原子力発電を中心としたエネルギー政策から、再生可能エネルギーを中心とする政策への早急な転換」と求めました。
北海道電力泊原発の周辺4町議会では、原発の段階的運転停止や泊原発3号機のプルサーマル計画の撤回を求める意見書が相次いで可決されました。日本原子力発電の敦賀原発の20キロ圏内に含まれる福井県越前市議会も「増設計画の中止を含め、期限を定めて暫減廃止」することを求めています。
九州電力川内原発については「3号機増設に反対すること」(鹿児島県さつま町議会)などの意見書が可決されています。
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