2011年7月8日(金)「しんぶん赤旗」
再生可能エネルギー促進
原発撤退でこそ普及進む
参院予算委 井上議員の質問
7日の参院予算委員会で再生可能エネルギーの促進問題を取り上げた日本共産党の井上哲士議員。原発推進に固執する政府の姿勢が浮かび上がりました。
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井上氏は、世論調査で、「既存の原発をどうするべきか」との問いに82%が廃炉を求めている結果を紹介。福島原発事故後、原発14基の新規増設を含むエネルギー基本計画を「白紙から見直す」と明言したにもかかわらず、まったく進んでいないと追及しました。
全く手つかず
井上 見直しを言ってから4カ月たっても全く手つかず。閣議決定を廃止すべきでないのか。
菅直人首相 原子力行政を根本から検討する。それにむけて、まだ、どの場でどの時期でと申し上げるには少し早い。
井上 そうであるのならまず、今の計画を廃止することを明確にすべきだ。
井上氏は、今後とも原子力がエネルギーの柱とする政府の位置づけは何ら変わっておらず、「『口だけ』と言われても仕方がない」と批判。ドイツが2022年までの原発全廃を決め、自然エネルギー発電の割合を現在の16%から50年までに80%にする計画を決めたことを示し、「撤退を決断してこそ自然エネルギーの本格的開発と普及ができる」として、原発撤退の決断を強く求めました。
井上氏は、環境省の委託調査では、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの潜在力が、約21億キロワット(KW)にのぼると試算していることを紹介し、「日本の電力供給能力の10倍。原発(54基)の発電能力の約40倍だ」と強調。昨年5月には、経済協力開発機構(OECD)が「日本は豊富な自然エネルギーを潜在能力に持ちながら、導入が遅れている」と勧告していることも紹介し、「潜在能力も、最先端の技術もある。これを生かしてこなかった政治に問題がある。原子力に依存し続けて自然エネルギーへの転換に本格的に取り組んでこなかった」と強調しました。
予算の主役に
井上氏は、電気料金に上乗せして年間約3500億円も徴収している「電源開発促進税」が原発推進に使われていると指摘。5年間に2兆円も原発予算に注ぎこむ一方で、自然エネルギー対策は6500億円にも達していない実態を示して迫りました。
井上 自然エネルギーこそ予算の主役にすることが必要だ。
菅首相 おっしゃる通り。原子力に使った費用を再生可能エネルギーの開発にむければ潜在能力を大きく開花させることになる。
井上氏は、首相が強調する再生可能エネルギーの全量買い取り制度も電気料金に上乗せされる一方で、太陽光発電の導入補助は231億円も削減されたことをあげて、こうただしました。
井上 電源開発促進税を原発推進ではなく、自然エネルギーの開発に使うように変え、全量買い取り費用の国民負担を抑え、太陽光パネルの導入などの補助金に使っていくべきだ。
菅首相 財政的にも力をいれるべきだ。
井上 促進税を自然エネルギーへの転換につぎこむのか。
菅首相 検討に値する。
さらに井上氏は、原発立地自治体への交付金について、民主党政権が稼働実績のみで算定するように変更したため、原発再稼働が遅れれば交付金が減り、一方で、定期検査間隔をあけると交付金を上乗せする仕組みとなっていることをあげ、“アメとムチ”のやり方はやめるよう迫りました。
井上 カネと引き換えに危険を押し付けるような交付金制度は改めるべきだ。自治体が廃炉にして自然エネルギー開発をすすめる取り組みを支援する交付金制度とすべきだ。
菅首相 根本的に再検討する必要がある。
井上氏は、「原発からの撤退を決断し、そのもとで自然エネルギー開発促進に取り組むことが必要だ」と改めて強調しました。