2011年7月7日(木)「しんぶん赤旗」
玄海1号機 圧力容器の劣化認める
吉井議員に政府が答弁書
政府は5日、日本共産党の吉井英勝衆院議員が提出した佐賀県の「九州電力・玄海原子力発電所の安全性」に関する質問主意書の答弁書を閣議決定しました。
中性子による原子炉・圧力容器の脆性(ぜいせい)劣化を示す脆性遷移温度について、1号機は1976年の検査で35度だったのが2009年に98度と、かなり高温になり、緊急炉心冷却を働かせると炉心が危険な状態に陥る事実を明らかにしました。
3月11日に福島第1原発を襲った津波は14メートルから15メートルだったのに、玄海原発(1号機〜4号機)における津波発生時の押し波は、わずか2・0〜2・1メートルと想定。緊急時の機器冷却に用いる海水取水ポンプモーターの高さは6・6〜7・7メートルしかないなど、津波による電源喪失に至る危険性を抱えていることも分かりました。
玄海原発1、2号機の耐震最大加速度は180ガル〜270ガル、同3、4号機は188〜370ガルで、福島第1原発を襲った550ガルには耐えられない水準です。想定マグニチュードも7・0で東日本大震災の9・0を大きく下回っています。
周辺地域の避難計画については、原発のある玄海町と隣の唐津市には計画があるものの、隣接する長崎、福岡両県の市町村にはないことも判明しました。
6月23日に開いた住民説明会については、原発推進をはかってきた日本生産性本部に約1300万円で一般競争入札を装った事実上の随意契約を行ったことを認めました。傍聴やマスコミ取材を禁止したことについては、「受け入れる場所がなかった」と最初から締め出す考えだったことも認めました。