2011年7月7日(木)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
きょうは「小暑」です。暑気に入り、梅雨が明けるころ。暑中見舞いのやりとりも始まります▼暦の上の暑中は、小暑から立秋までの約1カ月です。暑中見舞いを出すのは夏の土用の間、という説もあります。とすれば、ことしは7月20日から立秋前日の8月7日まで。しかし、すでに暑苦しい地域が多いので、きょうから出しても違和感はなさそうです▼暑中見舞いの歴史を調べていて、1938年に大分県別府市の観光課がつくった絵はがきがあると知りました。暑中のあいさつに先立ち、宣伝文句を掲げています。「銃後の護(まも)りは健康から」「健康は温泉より」「温泉は別府へ」。分かりやすい三段論法です▼1938年といえば、同年用の年賀切手の発行が中止されています。やはり、戦争の影響でした。「銃後の護りは…」と書いておかないと、“温泉に入りにおいで”と誘うのもはばかられたのでしょう。前年、日本は中国侵略の戦線を一気に拡大していました▼そのきっかけとなる盧溝橋(ろこうきょう)事件は、37年のきょう、7月7日に起こりました。日本軍と中国軍がにらみあっていた北京郊外の盧溝橋で、夜の闇を切り裂いた数発の謎の銃弾。そして戦闘。いったん停戦で合意していたにもかかわらず、日本は中国への派兵をふやし、全面戦争に突入します▼“一撃で中国は屈する”とのもくろみが外れた日本は、戦争の深みにはまり、残虐行為を重ねたあげく敗戦。いただく暑中見舞いの幾枚かに、ことしも「平和」の文字が鮮やかでしょう。