2011年7月5日(火)「しんぶん赤旗」
廊下・階段・エレベーター…
共用部分に国の助成
被災マンション 修理に朗報
住民と共産党議員が運動
東日本大震災で損壊したマンションの共用部分の修繕に、災害救助法の住宅応急修理制度(1世帯52万円上限)が適用されることになりました。修理しようとしても居住者の負担が大きく、困っていた被災地マンションにとって朗報です。
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「マンション管理組合から、住宅応急修理制度を活用したいという相談が相次いでいます」
こう語る日本共産党の高見のり子仙台市議。市議団は、震災直後からマンション住民の要望を聞き、実現に奔走しています。
エレベーター水浸し
同市宮城野区のあるマンションは、液状化した地面から地下水が噴出しエレベーター内が水浸しになりました。現在はポンプで水を吸引しながら動かしています。外壁や鉄骨も損傷し、修繕積立金ではとても修復できない状況です。
同区の別のマンションは、地盤沈下で給水設備が壊れてしまいました。廊下や階段も破損しています。階段棟が全壊し、解体・撤去や再建費用に頭をかかえるマンションもあります。
高見議員は言います。「(共用部分の応急修理)制度が使えれば、住み続けられるマンションがたくさんあります。まずこの大震災からは使えるようになったことを、すべてのマンションに周知することです。制度を充実させていくことも大切です。管理組合の声を聞き、いっしょに運動していきたい」
仙台市議団は、この内容を盛り込んだ市議団ニュースを作成し市民に届けています。
政府が「考え変えた」
「マンション共用部は制度の対象外」としてきた政府が態度変更を表明したのは6月15日。「マンション共用部を応急修理制度の対象にしない合理的理由は何もない」という日本共産党大門実紀史参院議員の国会質問への答弁でした。答弁に立った大塚耕平厚生労働副大臣は「大臣とも相談して詰めた内容」として、共用部分も対象とするよう考え方を変えたと明言しました。
この質問・答弁を受けて厚労省は、6月30日に被災各都県に通達を出しました。通達では、住宅応急修理制度の対象となるマンション共用部分として「廊下、階段、エレベーター」を例示。利用しなければ専有部分に「アクセスできないような共用部分」で「応急修理が当該世帯にとって、日常生活に必要欠くことのできないもの」を対象としています。
安全・安心一日も早く
大門実紀史参院議員の話 マンションは、今回の大震災の復旧の谷間になっています。特に宮城県仙台市では数多くのマンション住民が被害で苦しんでします。合理的理由が何もないのに共用部分には応急修理への助成制度が使えなかった問題を、ようやく正すことができました。現場のマンション住民は、不安と恐怖で夜も寝られないくらい困っています。当該の県・市町村が早くこの制度を使って住民の安全・安心を守ってほしい。
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