2011年7月5日(火)「しんぶん赤旗」

松本復興相暴言 「知恵出さないところは助けない」

“権力者”の目線 任命責任も重大


 「あれが欲しいこれが欲しいはダメだぞ。(国は)知恵を出したところは助け、知恵を出さないところは助けない」(岩手)、「甘えるところは甘えていいが、(政府も)突き放すところは突き放す」(宮城)―。

国の姿勢こそ

 松本龍復興担当相が岩手、宮城両県を訪問し(3日)、被災地を脅しつけるような暴言をしたことに、地元では批判が噴出しています。

 9日に設立予定の「東日本大震災・津波救援・復興岩手県民会議」の呼びかけ人で、岩手県生協連会長の加藤善正氏は、「『国や政府の言うことを聞けば助けてやる』といわんばかりの“権力者”の目線を感じます。被災者に寄り沿う姿勢が全くない。何でこんな人が復興担当相なのか」と怒りをあらわにします。

 「東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター」の菊地修事務局長(弁護士)は、「国の役割を全く自覚していない発言だ。この間、災害救助法の適用、発動の遅れをめぐっては自治体の側にもさまざまな消極姿勢があって疑問を呈してきたが、やはり国の姿勢が根本問題だ」と述べます。

自覚全くない

 松本復興相は岩手で、仮設住宅の問題で県知事に対し「本当は、仮設はあなた方の仕事」、「国は進んだことをやっている。自治体はそこに追いついてこないといけない」などとも述べました。

 これについて、岩手県幹部の一人は、「災害救助の責任はそもそも国にある。国には手足がないから県が事業主体となって仮設住宅の設置を進めている。災害救助の責任が国にないというなら論外」と指摘。「『国の方が進んでいる』というが、2次補正、3次補正予算の検討も進んでいない。県が頑張っているのに国がついてこないから非常に苦労しているのが実情」と批判しました。

 松本復興相は宮城で「漁港の集約は県で意見集約をちゃんとやれ。やらなかったら国は知らんぞ」などと発言。同県の村井嘉浩知事が主導して国の復興構想会議の第1次提言にも盛りこませた「水産特区」構想が、政府と村井知事の独断に過ぎず、地元漁業者の激しい反発を呼んでいることを露呈した形ですが、発言が「特区」推進への圧力だとすれば重大です。

 未曽有の大災害に立ち向かうたたかいで、被災地住民に寄り添い、文字通りそのたたかいの先頭で努力するべき責務を負う復興担当相に、その役割の自覚がまったくない―。松本氏の責任はもちろん、「被災地に関しては最もよく理解している方」などとの理由で同氏を任命した菅直人首相の責任も厳しく問われる事態となっています。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp