2011年7月5日(火)「しんぶん赤旗」
復興計画作り―財源・防潮…手探り
宮城・岩手 沿岸の27自治体
市町村の復興計画づくりについて、本紙取材団が宮城、岩手両県の沿岸27自治体担当者に6月28、29の両日に電話等で取材したところ、次のような特徴が見られました。
国の支援要求
11自治体が国の全面的な財政支援を求めました。「町の7割が甚大な被害にあい、復興事業費も莫大(ばくだい)なものになる。国に全額財政措置してもらわないと町が破産する」(宮城県南三陸町)「農・漁業被害だけで3353億円。町の一般会計は100億しかない」(宮城県亘理町)
国が打ち出している住宅の高台移転の場合、移転先の宅地造成など事業費の4分の3を国が負担。さらに特別交付金の措置で市町村の負担は6%程度になるとされています。移転を希望する集落が増えれば財政的に負担できなくなる自治体が多いのが実態です。
防潮堤の規模
町づくり計画を大きく左右するものとして、国の管轄である防潮堤の規模を示すよう求める声も多数ありました。「(決まらないので)高さを想定して何パターンか計画をつくることになる」(岩手県宮古市)
「防潮堤は復興計画のネックになる。うちは13・3メートルでも津波が越えた。隣村は15・5メートルで越えなかった。隣村の規模を参考に国に要求することになるだろう」(岩手県岩泉町)
宮城県東松島市では、街づくり計画有識者会議で国交省の担当者が「(政府の中央防災会議の中間報告は)防潮堤の高さは今の高さでということ」と発言したことに対し、市の担当者は「1000人以上が死んでいるのに、市に相談もなく『今の高さ』とはどういうことだ」と怒りをあらわにしました。
現状に合わず
そのほか、政府の復興構想会議の「提言」について、住宅の「高台移転を強調するが平地で高台がなく類型には収まらない」(宮城県多賀城市、仙台市)などの意見も出ました。
また、住民の意見を反映させる点で、南三陸町では日本共産党の大滝りう子議員の要求もあり、5500を超す全世帯から意見を聞くことになりました。
「国会の茶番劇で現場は爆発寸前」(東松島市)、「政党間のゴタゴタ。どっち向いているんだ」(宮城県利府町)という声も出ました。
ほとんどの自治体が年内をめどに一定の計画を確定する方向です。
東京電力・福島第1原発の放射能漏れの収束の見通しが立たない福島県では計画づくりに着手できない深刻な事態が続いています。
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