2011年7月4日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

学童保育よくしたい


 働きながら子育てするのに、学童保育はなくてはなりません。希望者みんなが利用でき、放課後を安全にすごせる学童保育にするために、保護者と指導員が力を合わせて取り組んでいます。北海道函館市と沖縄県での活動を紹介します。


高い利用料 基準以下は7割

93%が民営 変えたくて

沖縄

党沖縄県議・西銘純恵さんの手記

写真

 沖縄県41市町村のうち23市町村で、214学童クラブがあり、約1万人の子どもたちが放課後を過ごしています。

 学童クラブの現状は、全国では83%が公立であるのに比べ、県内は民立民営が93%です。屋内スペースが国のガイドラインを満たしていない学童クラブは7割に上っています。施設の賃借料や維 持費負担は保育料で賄うしかなく、全国平均6000円の保育料に比べ、沖縄は1万円余と保護者負担が重くのしかかっています。

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 県民所得が全国平均の70%の沖縄で、保育料が高いため、入所させたくてもできない子どもが増えています。公立公営の早期実現が求められています。

 私と学童保育のかかわりは、長男の幼稚園入園をきっかけに、1983年、浦添市に父母共同運営で神森(かみもり)学童クラブを開設してからです。隣の小学校区の、うちま学童クラブに間借りして小学校併設の幼稚園で3人の園生でのスタート。公的支援がなく、数年間は父母とともに資金づくりに古新聞、空き瓶、空き缶回収と奔走しました。

 その後、浦添市連絡協議会と県連協を結成し、行政へ要請行動を繰り返しました。党市議の夫は浦添市議会で何度もとりあげました。

 「都市児童健全育成事業」の補助金から始まった学童クラブへの施策は、今日では一人親世帯への保育料半額助成、民間施設利用に家賃の半額補助など、県内でもすすんだものとなっています。

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 神森学童クラブは25周年をへて3カ所に分かれ、全小学校区にあります。

 沖縄県は、戦後27年間の米軍の全面占領によって、日本国憲法や国内法の施行が遅れ、学童保育も本土に30年遅れて出発しています。戦後焼け野原からの復興のために、女性が働き手となり、その子どもたちを預かる託児所(認可外保育園)や小学校併設の公立幼稚園が設置されました。

 政府の放課後児童クラブ費は幼稚園児は対象でないため、沖縄の問題として補助対象にさせていく課題があります。

 国基準に比べ、沖縄県の障害児加算48%、長時間開設加算65%の補助金について、県議会で文教厚生委員会所属の私や、共産党県議が取り上げ、今年度から国基準への引き上げが実現しました。今後も、希望するどの子も学童クラブで育ちあいができるように、施策の前進のため全力を尽くしていきます。


保護者・指導員ら運動30年

声集め提言 指針に反映

函館

 函館市の学童保育連絡協議会(市連協)結成30周年記念祝賀会が昨年11月、保護者、指導員、OBの参加のもと盛大に開催されました。そこには、市長、教育長、市議会議員も来賓として出席してくれました。

 この30年間、保護者(父母会)と指導員(指導員の会、労組)の協力による運動で、函館市(教育委員会)とともに今日の学童保育充実を図ってきました。記念祝賀会はこうした大きな運動の成果を確認し、ともに喜び合い、子どもたちの伸びやかな成長を願う場となりました。

 市教委提案の「函館市の学童保育所ガイドライン」が全クラブ説明会、持ち帰り協議や意見公募をへて、2008年市議会に提出、発表されました。作成される3年前、市連協は「学童保育設置運営基準(案)」を全クラブ父母会や指導員の会の意見をまとめて提言し、函館市に基準づくりを求めました。これが、ガイドライン(左上、別項)にしっかり反映されました。

 函館市の学童保育は30年前、共同学童保育所3カ所で市連協を結成したことに始まります。補助金を求めて署名活動を展開、毎年学童保育所が増え続ける中、85年、学童保育所11カ所で総額100万円の予算が付いたのが始まりで、今年は同45カ所2億3114万円(施設整備費1690万円含む)の委託料となりました。

 しかし、保護者会のない学童保育所が出現したり、指導員の低い待遇、保護者負担金の多さ、合併後の旧町村小学校(8校)と小規模校(3校)での学童保育がないなど、まだまだ課題はあります。市連協は今後も、保護者が「子育ての喜び」を共有し、指導員が「働きがい」を感じ、子どもたちが「楽しく通い続ける」ことができるよう運動を進めていきます。

 (函館市学童保育連絡協議会副会長・高田恵美子)

ガイドラインの内容

 ▼対象学年は1〜6年生▼指導員配置は児童10〜19人に2人以上、20〜40人に3人以上▼保護者の労働時間に対応する開所時間とする▼おやつ・給食づくりができるように台所を設置▼保護者は事業参加に努める▼指導員の労働条件は労働基準法に基づくこと▼同一校区での複数配置や近隣地区での競合への配慮―など多くの意見や実情に基づいた内容となりました。


待機児40万人以上 制度・施策拡充こそ

 学童保育は、共働き・一人親家庭等の小学生(主に低学年)が放課後の時間、学校が休みの土曜日や夏休み等の長期休業中に、家庭に代わって毎日過ごす「生活の場」です。

 学童保育で過ごす時間は、年間1600時間以上です(小学校で過ごす時間より500時間ほど多い)。子どもたちが、学校から学童保育に「ただいま!」と当たり前のように帰って、安全で安心して生活することで、保護者は安心して仕事ができます。共働き家庭や一人親家庭が増えている今日、学童保育は働きながら子育てする家庭にはなくてはならないものです。

 学童保育は、いまから50年以上も前から必要とする親たちが学童保育という施設を生み出し、「つくり運動」によって全国に広がってきました。

 国は、学童保育を1997年に法制化(児童福祉法)しました。現在、全国に約2万カ所があり、80万人の子どもが学童保育に通っています。法制化後、学童保育数は2倍に増え、入所児童は2・4倍に増えましたが、まだ不足しており、利用できない子どもたちが40万人以上いるといわれます。また、学童保育の条件整備が遅れているために、多くの課題を抱えています。国の制度の拡充、市町村の施策の拡充が求められています。現在も、保護者と指導員でつくる各地の学童保育連絡協議会などで、よりよい学童保育をめざした運動、取り組みが続いています。

 (全国学童保育連絡協議会事務局次長・真田祐)





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