2011年7月4日(月)「しんぶん赤旗」
主張
普天間「固定化」発言
沖縄県民への脅迫許されない
菅直人首相が仲井真弘多沖縄県知事との会談(6月27日)で米軍普天間基地の「固定化を避けるため」には同基地を名護市辺野古に「移設」する「以外にない」とのべたことが怒りを買っています。
普天間基地の辺野古「移設」に反対し、普天間基地を即時閉鎖・撤去させることは県民のゆるぎのない総意です。その願いに応えるのが政府のつとめであるはずです。にもかかわらず辺野古「移設」を認めないなら普天間基地を今後も存続させるしかないかのようにいって「固定化」で県民を脅し、願いをふみにじるのでは県民の理解など得られるはずがありません。
「日米合意」実施のため
菅首相が普天間基地の「固定化」で県民を脅すのは、民主党政権が進めてきた普天間基地の辺野古への「移設」計画がいよいよ行き詰まっていることを示すものです。新基地建設反対の県民のたたかいは、憲法が保障している平和的生存権の行使です。県民を脅迫して新基地建設に道を開こうとする菅首相の強権的態度は絶対に許されるものではありません。県民を脅すのではなく、辺野古への「移設」計画をただちに撤回し、普天間基地の閉鎖・撤去をこそ米政府に要求すべきです。
菅首相が脅迫的態度をむきだしにしてまで新基地建設の受け入れを県民に迫るのは、6月21日の日米安全保障協議委員会(2プラス2=外交軍事閣僚協議)でも確認した「日米合意」を実施するためです。「日米合意」は、新基地の滑走路の形状を「V字形」とし、辺野古「移設」を「2014年より後のできる限り早い時期に完了させる」とのべています。この合意に忠実に従い、一日も早く新基地建設の道筋をつけようというのが菅首相の真意であり、卑屈な対米追随姿勢そのものです。
菅首相の発言は、23日に沖縄で開かれた「沖縄全戦没者追悼式」での「沖縄だけ負担軽減が遅れていることは慙(ざん)愧(き)に堪えません」という発言がいかに口先だけのものだったかを示すものともなっています。基地負担軽減の遅れに恥じ入るそぶりを示しながら、負担を増大させる新基地建設を、県民を脅してまで押し付けるなど、国民要求に誠実に向き合うべき首相のやることではありません。
「固定化」発言が改めてうきぼりにしているのは、基地の「負担軽減」という民主党政権の主張がまったく本気でやるつもりのないものだということです。それは昨年5月に続く今年6月の「2プラス2」でも日米合意文書から沖縄の「負担の軽減」の文言をなくし、「影響を軽減」としたことにもあらわれています。わざわざ「負担」という文言をなくしたのは、「負担軽減」が口先だけのことだといわれても仕方がありません。
県民を愚弄するな
米軍普天間基地はもともと、太平洋戦争末期の占領中に米軍が戦時国際法にさえ違反して県民から土地を奪い、その上につくったものです。返還を求めるのは県民の当然の権利です。普天間基地の閉鎖・撤去を米政府に求めて交渉することが政府のつとめです。
県民の総意は、新基地に反対し、世界一危険な普天間基地を無条件で閉鎖・撤去させることです。この願いにくさびをうちこみ、対立させる県民愚(ぐ)弄(ろう)の企ては、絶対に許されません。
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