2011年7月2日(土)「しんぶん赤旗」
都市部で緩和可能に
保育所の面積基準 厚労省が省令案
厚生労働省は1日、保育所など児童福祉施設の最低基準に代わる施設や運営のガイドライン(厚労省令)案を、社会保障審議会児童部会に示しました。4月末に成立した「地域主権改革」一括法で、国の最低基準が撤廃され、地方の条例任せにされたのを受けた措置です。
特定の地域については、保育所の子ども1人当たりの居室面積の基準を国の基準より引き下げる特例が許されています。この日示された省令案では、その対象地域は「待機児童問題が深刻でかつ地価の高い地域」とされ、ほとんどの都市部が対象となることが明らかになりました。
省令に照らして今後、厚労相が指定する地域で面積基準の引き下げが認められ、子どもを詰め込むことが可能になります。
「地域主権改革」一括法の審議過程では、厚労省は「東京等」としていました。
定員を超えた子どもの詰め込みにより、認可保育所での子どもの死亡事故が急増しています。さらに面積基準の引き下げを認めることは子どもの命と安全を大きくおびやかすものです。
この特例は時限措置とされていますが、期限は明確にされず、厚労省は「今後検討したうえで政令で示す」としています。
職員配置基準、居室面積基準、人権に直結する運営基準は、今後も地方は国の基準に従うことになっています。厚労省は、職員配置、居室面積、調理室の必置などについて、従来の最低基準と同じ水準を「従うべき基準」として示しました。
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