2011年7月1日(金)「しんぶん赤旗」
10年代半ば消費税10%
政府・与党が方針決定
大震災復興の妨げに
政府・与党は30日夕、社会保障改革検討本部(本部長・菅直人首相)の会合を開き、消費増税を盛り込んだ「社会保障と税の一体改革案」を決定しました。社会保障を切り捨てる一方で、消費税率は、「経済状況の好転」を条件に2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げる、としました。
政府・与党は消費税率が1997年に5%になって以降、初めて引き上げる幅と時期を決定しました。今回の決定について、菅首相は会合で「まさに歴史的決定だ」と強調しました。
「一体改革案」は、当初「まずは、2015年度までに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げ(る)」としていましたが、与党と政府との間の協議の結果、「まずは、2010年代半ばまでに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げ(る)」と明記しました。10%以上への消費税率引き上げも想定しています。今回の決定では、「経済状況の好転」が条件となっているものの、「政府は日本銀行と一体となってデフレ脱却と経済活性化に向けた取組みを行い」としており、実体経済の回復よりも日銀の金融緩和政策に依存したものとなっています。
消費税率の引き上げは、日本経団連、経済同友会など財界団体が求めてきたものです。
同案を閣議決定することについては、与党の国民新党が難色を示しているため、閣議報告とします。菅内閣は、この政府・与党案をもとに、自民、公明との各党協議に臨みます。与謝野馨経済財政担当相は記者会見で、「税を上げる作業は一党ではなしえない」とし、自民、公明両党とも組んで消費税率を引き上げる考えを強調しました。
消費税は、社会保障の財源としてはもっともふさわしくないもので、東日本大震災から復興の障害になります。