2011年6月29日(水)「しんぶん赤旗」
福島知事 原発ゼロ表明
ふるさと傷つけられた
福島県の佐藤雄平知事は27日の県議会本会議で、「原子力に依存しない社会をめざすべきとの思いを強く持つに至った」とのべ、初めて原発ゼロの姿勢を明らかにしました。
有識者による県復興ビジョン検討委員会は、「原発依存からの脱却」を基本理念とした県への提言原案を確認し、佐藤知事の態度表明が注目されていました。
同知事は、「東京電力福島第1原発の事故は、いまだ収束の兆しが見えないきわめて厳しい状況がつづき…原発の安全神話は根底からくつがえされた」と指摘。町村ごと避難に追い込まれた自治体の困難さや、農林水産業、製造業、観光はじめあらゆる分野で危機に直面し、「ふるさと福島が大きく傷つけられたことに断腸の思い」とのべ、転換の考えを明らかにしました。
有識者の検討委員会の提言や県議会、県民の意見などをふまえ、原発に依存しない産業振興や雇用確保、地域づくりなどを検討して、7月中をめどに復興ビジョンを決めるとしています。
原発の安全性を求める福島県連絡会の伊東達也副代表は、「県民の声からして当然のこと。これからは、ぶれずに10基の原子炉すべてを廃炉にすることです。放射能除染の研究所などを県内につくり、原発のかわりに自然エネルギーの研究、開発、生産の各施設を産業として育成すれば、県民の納得と合意がえられるのではないか」と語っています。
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