2011年6月29日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 東京・霞が関の厚生労働省。前庭に、黒光りする石の碑が三つ建っています▼門を入り右側の突き当たりに、「海軍省跡」「軍令部跡」と刻まれた碑があります。「内閣総理大臣 中曽根康弘書」の記名。1980年代に首相をつとめた中曽根氏も、海軍出身でした▼入って左側に、薬害エイズ事件への反省にたつ「誓いの碑」があります。1999年8月建立。悲惨な薬害を再び起こさないよう、厚生省(当時)が「最善の努力を重ねていく」と誓います▼1週間前に公開したばかりの碑が、「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の碑」です。海軍省の碑へ行く途中に建ちます。「平成23年6月 厚生労働省」の文字も真新しい。が、碑文を素直に読み通せませんでした。「ハンセン病の患者であった方々などが強いられてきた苦痛と苦難に対し、深く反省し…」▼? 「苦痛と苦難を強いてきたことを、深く反省し…」ではないのか。わざわざ「率直にお詫(わ)びする」と書くものの、率直さが伝わってきません。とはいえ、「ハンセン病問題の解決に向けて全力を尽くす」と表明する碑文の意味は重い▼きのう、B型肝炎訴訟の原告と国が和解にいたりました。国の予防接種の注射器使い回し放置で、140万もの人が患うB型肝炎。原告たちは、和解金が少なくても“重症の人が多いから一日も早く解決を”と、「苦渋の選択」に踏み切りました。国がその思いに甘えず、責任をとる番です。厚労省に、もう一つ碑が建つかもしれません。





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