2011年6月28日(火)「しんぶん赤旗」
主張
クラスター爆弾
日本からの撤去 米に求めよ
クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)を日本が批准してから7月で2年、8月で条約発効から1年がたつというのに、在日米軍はいまだに日本国内にクラスター爆弾を保有し、米軍機が沖縄で投下訓練をくりかえしています。
禁止条約はクラスター爆弾の貯蔵を「深く憂慮」し、地上からの「迅速な廃棄」を実現するためにつくられたものです。日本国民の声に押されて条約批准にふみきった以上、政府は自衛隊保有の爆弾を廃棄するだけでなく、在日米軍が保有するクラスター爆弾を日本国内から撤去させるべきです。
“殴り込み”用の兵器
クラスター爆弾はそもそも自国を守るための兵器ではありません。他国を侵略するさいに、相手国の部隊や装備、施設を破壊しつくすためにつくられたものです。米軍がイラクやアフガニスタンなどを侵略するさいに多用し、イスラエルが侵攻先のレバノンで多用した事実をみれば明らかです。
日本政府は在日米軍のクラスター爆弾を「日本防衛」のためといいますが、それは米軍に日本国内での保有を認めるための口実にすぎません。日本にいる米軍が「日本防衛」を任務にしていないことは米国防長官らの米議会証言などですでに明白です。活動実態もイラクやアフガニスタンへの出撃をくりかえしているように、世界各地への軍事介入が本務です。外来機まで沖縄にやってきて、空軍機や海兵隊機がクラスター爆弾の投下訓練をくりかえすのは、海外での“殴り込み”作戦に備えるためにほかなりません。
民主党政権は、米国が禁止条約を批准していないから日本国内での「保有や使用を禁止する義務を負っていない」といいます。しかしこれは通用しません。日米安保条約第6条は、米軍は「施設及び区域を使用することを許される」と規定しています。基地の使用は日本政府の許可事項というわけです。日本に使用許可権限がある以上、日本国内での爆弾保有も訓練も認めない、撤去せよと米側にいえないはずはありません。いまこそ米国いいなりの態度をただし、日本からの撤去を堂々と求めるべきときです。
禁止条約には保有国の策動で弱点もあります。条約批准国と未批准国間での共同作戦を認めた21条はその一つです。「日米の間で緊密に協議を行ってきた」(2009年6月9日参院外交防衛委員会、中曽根弘文外相)結果であり、日本政府の責任は重大です。クラスター爆弾は、一つの親爆弾から飛び出す多数の子爆弾のうち、相当な数が不発弾として地上に残り、それを握ったり踏みつけたりした市民や子どもらを殺傷する非人道兵器です。条約を批准しながら、米軍の使用を後押しするのでは国際社会からの批判は免れません。
保有国を追い詰めて
オスロ条約署名国108カ国中57カ国が批准を終えました。しかしクラスター爆弾保有国75カ国のうち米国、ロシア、中国など42カ国がいまだに批准していません。批准国の日本のやるべきことは、地上から「迅速に廃棄」することを根本にすえ、抵抗する米国などを追い詰めることです。そのためにも、米国によるクラスター爆弾の日本国内での保有・使用を容認する態度を政府がきっぱり改めることが不可欠です。
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