2011年6月26日(日)「しんぶん赤旗」

被災地で大量解雇のソニー仙台

雇用守る体力は十分

津波被害は保険で補てん


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(写真)1階は浸水したが堂々と立つソニー仙台テクノロジーセンター=6月13日、宮城県多賀城市

 ソニーは、東日本大震災で被害を受けたことを理由に、仙台テクノロジーセンター(仙台TEC、宮城県多賀城市)の事業を縮小し、正社員の配転、期間社員の大量解雇を計画していますが、実際には、被害を受けた施設の原状回復費用のほぼ全額が保険金で補てんされる見込みであることが分かりました。

 ソニーの事業縮小計画については、解雇対象の期間社員がソニー労働組合に加入し、「震災に便乗したリストラは許せない」と抗議し、撤回を求めて行動しています。29日には、バスで上京して本社に解雇撤回を訴えます。

 ソニーは、津波をうけて仙台TEC構内の1階部分が浸水しました。これを理由に、被害のない2階以上の部署も含めて県外に移転させ、労働者約1500人のうち、280人の正社員を県外配転に、150人余の期間社員全員を雇い止めにする計画を発表しました。

 津波被害が保険で補てんされることは、5月26日に発表された同社の3月期決算短信の「2010年度連結業績のお知らせ」で説明されています。

 建物や機械設備、製品、原材料などの被害について、「被害に直接関連する修繕、撤去ならびに清掃などの原状回復費用として109億円が当年度において発生しました」と報告。

 保険適用について、「損害及び付随する原状回復費用をカバーする保険に加入しており、当年度に発生した前述の損失及び費用のほぼ全額は受取保険金で相殺されるものと考えています」と述べています。

 ソニーは内部留保を2010年3月期で3兆4000億円以上もためこんでおり、それを活用すれば、被災者である労働者の雇用を守り、現地で事業を復興させる体力は十分にあります。

 ソニーが仙台TECを縮小させれば、復興に重大な打撃となります。多賀城市の工業の事業所数は54、従業者数3499人(09年度版多賀城市統計書)となっており、1500人の労働者が就業しているソニー仙台TECは圧倒的な存在です。

 ソニーは事業縮小後の空きスペースを被災中小企業に貸し出すと宣伝していますが、地域全体の衰退は避けられません。

 多賀城市の菊地健次郎市長と石橋源一市議会議長は、わざわざ上京してソニー本社に事業縮小をやめるよう求めています。

 ソニーは中鉢良治副会長(宮城県出身)が財界代表で政府の復興構想会議の委員になり、震災復興の先頭に立つべき立場にあります。その大企業が、被災者の雇用を脅かしていいのか、社会的責任を問う声が広がっています。





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