2011年6月26日(日)「しんぶん赤旗」
漁民無視の「特区」提言
復興構想会議 消費増税も視野に
政府の東日本大震災復興構想会議(五百旗頭真議長・防衛大学校長)は25日の第12回会合で「復興への提言〜悲惨のなかの希望〜」をとりまとめ、同日、菅直人首相に提出しました。
「提言」は、復興に際して「地域のニーズ(要求)を優先」しつつ、一方で「経済社会の構造変化を見据え、他方で、この東北の地に、来るべき時代をリードする経済社会の可能性を追求するものでなければならない」としました。
漁業「再生」にあたっては、「地元漁業者が主体となった法人が漁協に劣後しないで漁業権を取得できる仕組みとする」と明記。宮城県の村井嘉浩知事(同会議委員)が提唱し漁業者から猛反発を受けている、民間企業参入のための「水産業復興特区」構想を盛り込みました。
被災者の切実な願いである「二重ローン」問題解決では「金融機関・被災者のみならず、国・自治体を含め関係者がそれぞれ痛みを分かち合い、一体となって問題の対応にあたる」と、一般論を述べるにとどまりました。
復興財源については「基幹税(の増税)を中心に多角的な検討をすみやかに行い、具体的な措置を講ずるべき」だと提起し、消費税増税を可能にする立場を示しました。
エネルギー戦略の見直しでは、再生可能エネルギー導入対策や省エネルギー対策を講じるとしましたが、原発を減らす方向性は何ら打ち出しませんでした。
さらに「提言」は「減災」なる“理念”を掲げ、「災害との遭遇に際しては、一人一人が主体的に『逃げる』という自助が基本」「つい『公助』や『共助』に頼りがちの気持ちが生ずる。しかし、恃(たの)むところは自分自身との『自助』の精神に立って」などとしました。