2011年6月26日(日)「しんぶん赤旗」

海底土にストロンチウム

福島第1沖合 初検出 通常の258倍


 東京電力は25日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)沖合2カ所の海底土から事故に伴って放出された放射性物質のストロンチウム89と同90が検出されたと発表しました。検出された量は、通常の値を大きく上回っていました。これまで、事故由来のストロンチウム89と同90は、同原発敷地内と周辺の土壌や植物、海水などから検出されていますが、海底土から検出されたのは初めてです。

 検出されたのは、いずれも福島県の南相馬市小高区沖合3キロメートルと、楢葉町岩沢海岸沖合3キロメートルの地点で6月2日に採取した海底土。小高区沖合3キロメートルの地点では、半減期(放射能が半分に減るのに要する期間)が約51日のストロンチウム89が海底土1キログラム当たり140ベクレル、半減期が約29年のストロンチウム90が同44ベクレル含まれていました。

 岩沢海岸沖合3キロメートルの地点では、ストロンチウム89が海底土1キログラム当たり42ベクレル、ストロンチウム90が同10ベクレル含まれていました。

 1999年度から2008年度にかけ福島第1原発周辺の海底土から検出されたストロンチウム90は海底土1キログラム当たり検出限界以下〜0・17ベクレルの範囲でした。小高区沖合3キロメートルの海底土にはストロンチウム90が少なくとも約258倍含まれていたことになります。

 ストロンチウムはカルシウムと性質が似ていて、魚などが摂取すると骨などに蓄積します。ストロンチウム90は半減期が長く、食物連鎖などで濃縮されたものを人間が体内に取り入れた場合、骨がんなどの原因になることが懸念されています。

 福島第1原発からは、タービン建屋地下などにたまった高濃度放射能汚染水が4月と5月に海へ流出しており、その中には大量のストロンチウム90が含まれていたことがわかっています。2カ所の海底土に限らず、さらに範囲を広げて調査を行う必要があります。





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