2011年6月24日(金)「しんぶん赤旗」

遅れる支援金支給


 東日本大震災の被災者に支給される「被災者生活再建支援金」や「災害義援金」の給付が遅れています。震災から3カ月がすぎても、当面の生活資金や生活再建の資金が被災者に届かない例が多いのはなぜでしょうか。 (東日本大震災取材班)


罹災証明の発行に手間取る

 支援金や義援金の支給を受けたり、仮設住宅への入居や住宅の解体・修理をしたりする際には、罹災(りさい)証明書が必要です。税金の減免や保険の請求などの手続きにも使われます。

 罹災証明書は、災害による住宅への被害の程度を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部破損」の四つの被害区分で認定するものです。「全壊」や「大規模半壊」と認定された世帯には、支援金が支給されます。

 住宅被害の程度は、市町村の職員による現地調査で認定されます。被害が未曽有の規模で広範囲に及んだ東日本大震災の住宅被害ですが、職員が住宅を1軒1軒まわって調査しているために時間がかかっています。

 さらに、罹災証明書が発行されても、支援金の支給事務を受託している財団法人都道府県会館の人員態勢が処理に追いついていない問題があります。これらの職員を増員したり発行手続きを簡素化したりする対策が求められます。

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は、3月28日の衆院災害対策特別委員会で、罹災証明の発行手続きの簡素化を要求。その後、内閣府は現地調査によらずに、航空写真を活用して津波による住宅の被害を認定するなど簡素化を通知しました。

長期避難制度も限定的

 罹災証明書なしに支援金が支給される「長期避難世帯」認定制度が活用されないことも、支援金の支給が遅れている要因です。

 住宅の損壊にかかわらず、自然災害によって住宅に居住不能な状態が長期間継続している「長期避難世帯」が支援金の支給対象になります。

 内閣府は支援金支給の迅速化をはかるために、「長期避難世帯」の認定を急ぐよう各都道府県の防災担当者に連絡しています。しかし、東日本大震災の津波によって道路やライフラインなどが失われた区域の世帯に限定しています。

 日本共産党の花木則彰仙台市議は20日、市郊外の丘陵団地で地盤の崩壊や地滑りなどが多発し住民に避難勧告が出されている問題を取り上げ、宅地被害にも「長期避難世帯」の認定をするよう市に迫りました。

 花木市議は「長期間避難しないといけない世帯を支援するという制度の目的からすれば、津波被害だけに『長期避難世帯』の認定を限定するのはおかしい。宅地に被害が生じた被災者も支援金の支給対象にすべきだ」と話します。

義援金 被災者に早く配分を

 住宅が「一部破損」の世帯などは支援金の支給対象になりません。

 各県市町村や日本赤十字社などに寄せられた義援金は、支援金が支給されない被災者にも届けることが求められます。

 義援金の配分を決める国レベルの配分割合決定委員会は、死亡や行方不明、住宅の全半壊などを配分基準にしています。

 日本共産党の穀田恵二国対委員長は、各党・政府震災対策合同会議の第14回実務者会合で、配分基準について「被害認定が必要となり、実際に被災者にいつ届けられるのかわからない」と指摘。当面の配分について「被害認定にリンクさせずに早期配分を優先すべきだ」と主張しました。

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