2011年6月23日(木)「しんぶん赤旗」
福島・南相馬「避難準備区域」
入院制限を緩和
4病院205床 救急など対応
東京電力福島第1原発の事故で、南相馬市の「緊急時避難準備区域」(原発から半径20〜30キロ)では入院が原則認められず、「このままでは救える命も救えない」と見直しを求める声が医療関係者や市民からあがっていた問題(12日付既報)で、福島県は同区域の4病院にたいし20日付で制限の緩和を認める通知を出しました。
県保健福祉部によると、医療スタッフの状況などを検討し、準備区域の4病院で計205床、救急や急性期の患者の「短期入院」を許可しました。
これまでは市立総合病院(230床)など2病院で計10床、それも72時間以内という制限つきでした。仕事の再開や長引く避難生活の疲労から徐々に市内に戻る人の増加に伴い、区域内の救急搬送も増えています。
また、入院できない事態が長引けば病院の経営が成り立たず、医療スタッフの流出で地域医療が崩壊しかねないとの危惧が強まっていました。
市立総合病院では、県の調査に対し120床の入院許可を求め、今回70床が許可されました。金澤幸夫院長は、国に対し低被ばく線量区域の医療制限の解除(入院医療等の正常化)などを求めて6月に始めた署名の発起人の一人。同院長は、「準備区域では、実際に市民が戻って生活しており、国は入院制限などが生活の実情に合わなくなっていることを理解したのではないか。準備区域に課せられたいろんな制限に風穴をあけたと評価している」と話します。
同市健康づくり課の中里祐一課長は、「今後、少しでも多くの医療スタッフに戻ってもらい、元に近いベッドを確保したい」としています。