2011年6月23日(木)「しんぶん赤旗」
「2年で戻りたい」
福島・飯舘村が役場機能移転
福島市に
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福島第1原発の事故に伴い、「計画的避難区域」に指定された福島県飯舘村は22日、村役場の機能を福島市役所飯野支所に移転しました。原発事故に伴う役場の移転はこれで9自治体目。除幕式で菅野典雄村長は「夢と希望を持ってがんばり、できれば2年後には一部でも戻りたい」と述べました。
チェルノブイリ原発事故を上回る可能性も指摘されている土壌汚染の除染を「国家的プロジェクトで行ってほしい」と訴えた菅野村長。飯舘村では現在、すべての田畑で耕作を停止していますが、一部で表土を削り取り、放射性物質の吸着率を調べるための田植えを行っています。
立ち入りや居住が禁止されている「警戒区域」とはちがい、「計画的避難区域」の飯舘村の通行は自由です。村内には九つの事業所が営業しており、約550人の住民が避難先から「通勤」。避難中の盗難防止と雇用確保を兼ねた「見守り隊」400人が村内を巡回しています。
このため、21日現在で住民6170人中97%が避難または避難先が決定したことになっていますが、日中の人口は2000人を超える状況です。
社会福祉法人「いいたて福祉会」は、村内に残る特養老人ホームを維持するため、90人の職員が避難先から3交代で通っています。三瓶政美施設長は、「宮城県から60キロメートル以上かけてくる職員もいる。とにかく通勤が大変。村長が言うように2年で戻れるようにしてほしい」と訴えます。
しかし、現実は容易ではありません。三瓶さんは言います。「大気中の放射線量はいずれ減るが、土壌には半減期30年のセシウムが大量に残っている。仮に田畑の表土を削っても、飯舘村の面積の7割を占める山地をどうしたらいいのか…」
佐藤長平村議会議長は、「3月11日の震災でも、かわら屋根が落ちただけだった。水素爆発後のわずか12時間、上空を吹いた風で村は壊された。国と東京電力に対して、怒りをこめて交渉するしかない」と憤りました。 (竹下岳)
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